原発のある街・敦賀で見た、あまりにゴージャスな公営温泉
その後は高速道路を順調に走行。途中、ガソリンの残量が少なくなったため、豊田インターチェンジで一般道に降りてガソリンスタンドへ向かった。
高速道路のパーキングエリアにあるガソリンスタンドは割高だ。ただでさえガソリン代が高騰している昨今、給油はなるべく安く済ませたいと思ったのだ。
ガソリンを満タンにした後は、再び高速道路に乗り直し、北陸自動車道の敦賀インターチェンジまでノンストップで走り通した。
ソーラーパネル騒動という予期せぬ事態に時間を取られてしまったため、ようやく目標の福井に到達した時には、すでに夜の帷が下りていた。
非力な軽バンでの長時間高速走行をおこなった結果、僕の体はバキバキに凝っており、とりあえず熱いお風呂に入りたかった。
近くに「敦賀きらめき温泉リラ・ポート」というよさげな公営温浴施設があることをスマホ検索で知り、そこへ向かった。
「敦賀きらめき温泉リラ・ポート」は観光客向けではなく、地元民のための施設のようだったが、えらく立派な建物だった。
ちょっと驚いてネットで調べてみると、敦賀市が総工費約36億円をかけて整備し、2002年に開業した温泉付き娯楽施設だということがわかった。
総工費の3分の2に当たる24億円は、高速増殖炉もんじゅの交付金で賄われたのだとか。
そう。ここ敦賀といえば、原子力発電所のある街として有名だ。
だけどそれだけではなく、敦賀は近代の歴史において、ロシアのウラジオストクへの航路となる港を抱え、日本の表玄関の一つとして栄えてきた街なのだ。
たったさっき高速から降り立ったばかりの余所者で、温泉の建物の立派さにびっくりしただけではあるのだが、早くも北陸の奥深さの一端に触れたような気がした。
宿泊場所に決めた道の駅までの道中、天候悪化で生きた心地がしなかった
風呂から上がった後は、敦賀市から今夜の休息場所にしようと決めた、“道の駅 越前”を目指し一般道を北上。
しかし予報通り、天候が急速に悪化しはじめ、海沿いのしおかぜ街道〜漁火街道を走っている間、激しい風雨と海からの高波に襲われて、生きた心地がしなかった。
前後にはまったく他の車が走っていないし、途中で激しく雹まで降り出す始末。
「これはやばい。俺はどうなるんだろう?」と心配になった頃、目標である道の駅の看板が見えてきて、心底ホッとした。
道の駅の駐車場には、お仲間の車中泊組の車もちらほらと見られ、安心した。
その後も一晩中激しい雨風にさらされ、僕のエブリイ号は時折ぐわんぐわんと大揺れしたけど、一日中走った疲れからか、僕は深い眠りに落ちた。
さあ、明日からいよいよ宝探しの始まりだ!
写真・文/佐藤誠二朗