菅義偉の飯の食い方

例えば第2次安倍政権時に、安倍晋三首相はORIGAMIをよく使っていたが、就任4年の段階で40回の利用だ。菅氏の1ヵ月に14回がいかに多いかがわかるだろう。第2次安倍政権が発足した2012年12月27日からの1ヵ月では1回しか利用していない。

安倍氏の場合、就任1ヵ月の期間が年末年始をはさんでいたことや数日の外遊もあったとはいえ、会食に同じ店を使うことはなかった。コロナ禍の2020年と2012年を単純比較できないが、菅氏の嗜好がうかがえるだろう。

ちなみに「首相経験者の菅氏」と言えば、呼び名が違うが同じ漢字の菅直人氏がいる。2010年6月8日に発足した菅直人内閣の動静を見ると、就任直後はほとんど会食がセットされていない。

ひと月に同じ店で14回の会食。酒をまったく飲まなかった菅元首相が通ったレストランと3000円のパンケーキ_3
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地方回りの際に関係者や後援者と地元の店に行くことはあったが、首都圏近郊の名が登場するのは6月19日、ホテルニューオータニの中国料理店「大観苑」、30日の赤坂のすし店「石」、7月4日の赤坂の焼肉店「叙々苑 游玄亭赤坂」といったところか。いずれも伸子夫人が同席している。どんだけ仲良しなんだと突っ込みたくなるのは私だけだろうか。

伸子夫人の著書『あなたが総理になって、いったい日本の何が変わるの』(幻冬舎新書)では夫の首相適性を疑いながらも、私もともに行くしかないと述べているが、こういうことだったのか。

最近の政治家は個性がないとか言われがちだが、政治家も人だ。政治家も会食ひとつでどこで食べるのかに色が出る。

伊藤博文の女癖
若者に響かない岸田首相の酒豪伝説

文/栗下直也
写真/shutterstock

『政治家の酒癖』(平凡社刊)
栗下 直也
政治家は酒豪であるべきか、下戸であるべきか…岸田首相の酒豪伝説が国民に響かない理由_4
2023/3/17
968円
198ページ
ISBN:978-4582860252
宴席をめぐって人心を掌握する田中角栄や酒を飲ませて部下の本心をさぐるピョートル大帝など、古くから、「酒」は人間関係を紡ぐ潤滑油とされ、時の為政者は、酒を勧める会食・宴席を重視した。
その一方で、飲み過ぎて周囲の信頼を損ねたエリツィンや酒をやめられずに命を落としたムスタファ・ケマルなど、酒によってその地位を危うくしたり失う者もいた。
歴史を動かしてきた政治家たちはいかに酒を飲んだのか。
古今東西の政治家と酒にまつわる、奇想天外なエピソードをユーモラスにつづる。
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