3人で演じるセックスシーンの難しさ

「裸になることに抵抗はなかった」(矢野)ゲイと女子大生とホストの三角関係を体現した矢野聖人と錫木うり。映画『車軸』に存在するリアルな歌舞伎町_4

──劇中には、潤と真奈美と聖也が3人でセックスするシーンが登場します。カメラの前で裸になることは、表現者としてどのような感覚なのでしょう?

矢野 僕はそもそもデビュー作が舞台上で全裸になる『身毒丸』でしたから(笑)。今はなんの抵抗もないですね。うりちゃんも過去に経験があるから、そこに対する意識はむしろないんじゃない?

「裸になることに抵抗はなかった」(矢野)ゲイと女子大生とホストの三角関係を体現した矢野聖人と錫木うり。映画『車軸』に存在するリアルな歌舞伎町_5

錫木 今回これが初めてのチャレンジだったら、もう少し違ったと思います。以前、別の作品で初めてベッドシーンを経験したときは、「自分はどう思うのか」ということに対面した瞬間がありましたから。

でも思い返してみると、尊敬する女優さんたちが身体を張っている素晴らしい作品をたくさん見てきたし、私はそういう映画に希望をもらってきました。

だから自分が裸になることよりも、矢野さんや亜飛夢くんに熱量を集中してぶつけることができるか、ということのほうが大事で。撮影時にはスタッフの人数を少なくするなど、みなさんが体制を整えてくれたからこそ、まったく不安要素はなかったです。

「裸になることに抵抗はなかった」(矢野)ゲイと女子大生とホストの三角関係を体現した矢野聖人と錫木うり。映画『車軸』に存在するリアルな歌舞伎町_6

矢野 ただ、今回は僕とうりちゃんのふたりではなく、間に聖也を演じる亜飛夢くんがいるという構図だったので、気持ちの部分はもちろん、見え方も含めて心構えはしましたね。あと撮影中は減量をしていたので、その大変さは結構ありました。

「裸になることに抵抗はなかった」(矢野)ゲイと女子大生とホストの三角関係を体現した矢野聖人と錫木うり。映画『車軸』に存在するリアルな歌舞伎町_7
©️「車軸」製作委員会 ©️小佐野彈

──どうして体重を落とそうと?

矢野 監督に言われたんです。ちょうど筋肉をつけて身体を大きくしているタイミングだったのですが、8kg落として52〜53kgにしました。真奈美を電話で舞台に誘うシーンでは、痩せることに頭がいっぱいすぎて、最初のセリフのひとこと目すら出てこなかったくらい(笑)。

錫木 フィジカル的には別人でしたよね。もうカリカリで……。映画を見終わったときに思ったのは、潤さんの存在がせつなすぎたということ。体重を落とすことはすごく大変ですが、役の印象にもいい作用が生まれている気がしました。