落ちたことを確信したオーディション
――『花腐し』への出演が決まったときのことを教えてください。
オーディションは台本にある2つのシーンを読んで覚えて、挑ませていただいたのですが、撮影を終えて振り返ると、オーディションで演じたシーンは『花腐し』の代名詞となるようなシーンだったんですよね。
何かが始まって、何かが腐っていくのがわかる、すごくモリモリなワンシーン。でも「ここだけでめっちゃおもしろいじゃん」って思ったのを覚えています。
――オーディションの手応えは、どうでしたか?
荒井監督から「主役の祥子(しょうこ)は暗い女だけど、あなた明るいよね」って言われて「終わったー」と思いました。そこから先は落ち込んじゃって、生きた心地がしませんでした(笑)。とはいえオーディションだし、精一杯ぶつけてダメならしょうがないかなって。
――祥子は「暗い女」とのことでしたが、さとうさんの中ではどのような女性だと解釈しましたか。
自分のやりたいことがはっきりしているし、芯が強く見えるんですけど、流されやすかったり、人の影響を受けやすかったり、実はふわふわしている人だと思っています。男性二人とカラダの関係を持ってしまうのも、仕方ないというか。
自分の信念で視野が狭くなっているのに、他の情報が入ってくると取り入れようとするから、パンクしちゃう。意見がぶつかったら、ちゃんと喧嘩できないような人かなと。
――そういう部分って、共感できましたか?
祥子が他人のことをよく見ているという部分では「共感」できますね。ボーカリストっていうよりも、ドラマー気質だろうなって思いますし。
――ドラマーっぽいというのは?
一概には言えないんですけど、イメージ的には前に出て1人でガツガツみたいな感じではなくて、後ろで様子を見ているみたいな感じ(笑)。ドラムをやっている人たちに失礼になっていなければいいんですけど。