海空高校のリードオフマン、通称「さすらいの賭博師」

集英社の野球マンガでスタメン組んでみた(前編)最速200キロ投手、天才勝負師、智将、琉球の大砲、さすらいの賭博師_5
©こせきこうじ/集英社

■二塁手:『県立海空高校野球部員 山下たろ~くん』より、須永
※「週刊少年ジャンプ」1986年44号~1990年32号連載(全21巻)/こせきこうじ

ジャンプ黄金期を支えた野球マンガといえば、「史上最高の野球部員」を目指す“史上最低の野球部員”山下たろーが主人公の本作だ。サードを守る辰巳亮介との凸凹コンビも懐かしいが、ここで取り上げるのは海空高校もう1人のキーマン、セカンドを守る須永だ。

海空高校のリードオフマンで、通称「さすらいの賭博師」。高校生にして「競馬・すごろく・麻雀……」と各種ギャンブルで天才的な腕を発揮。その勝負師としてのセンス、鋭い勘を武器に、攻守にわたってチームを支え続けた。

「連載当時、プロ野球で三冠王として名を馳せた落合博満をモデルにしたライバル校の北野も、須永の実力は認めていました。それだけ高い能力を持った選手です」(ツクイ)

コミックス5巻の巻末ページでは、『ジョジョの奇妙な冒険』の作者、荒木飛呂彦がコメントを寄稿。こせきこうじは荒木が初めて会話をした漫画家であるというエピソードとともに、次の言葉を残している。

《漫画のヒーローとは、背が高く筋肉モリモリで、モデルのような顔をしていなくてもいいし、超能力など使えなくてもいい。心の底に誰よりも熱い気持ちを持ち、目的に向かって成長すればいい…ということを先生の作品は教えてくれました。まったく逆の作品のようだけれど、『JOJO』は『たろ~くん』を教科書にして、漫画にとって大切なところを勉強しているのです》

以上、セカンドまでの5選手を紹介。サード以降の残りは引き続き後編で考察していきたい。

後編(名主将、努力の天才、社会人野球の星、神足、ユーティリティー、秘密兵器)へつづく

文・オグマナオト