サウナが新卒採用のカギになる
――最近ではオフィスにサウナを設置するなど、サウナとビジネスの関わりも増えてきたように思いますが、どのように感じていますか?
親方 サウナが今の世の中にマッチしているのは、入る人にとっては、人と競う必要がないこと。ビジネスでも取り入れられることの多いゴルフも結局スコアを競っているし、競争を生まないサウナってすごく万能なツールだと思う。サウナシュランではランキングをつけてるけど(笑)。
川田 僕が驚いたのは、2023年にコクヨに入社した学生が内定前からサウナ部の活動を知ってくれていて。最後3社で就職先を迷ったときに、サウナ部の活動が決め手になったそうなんです。
親方 ゴルフと違ってサウナは練習いらないからな!(笑)
川田 今の若手はサウナが好きっていうのもありますけど、サウナを通して「この会社は自分の活動を許容してくれる」というイメージにもつながっています。
20代の若手社員にサウナ部のよさを聞いてみたら「サウナは評価されないのがいい」と言っていたんです。部活動など社外活動まで成果とか改善とか言われると疲れてしまうわけですよ。できる限りラフなコミュニティをコクヨのサウナ部では心がけていますね。
――川田さんは横浜の「スカイスパYOKOHAMA」のコワーキングスペースを「コワーキングサウナ」として整備するなど、個人のサウナ体験を会社の事業に繋げています。まさに「自分の好きを、所属する会社の仕事にした」事例だと思うのですが、かなりハードルがあったのではないでしょうか?
川田 スカイスパには僕自身頻繁に通っていたのですが、サウナから出て生姜焼き定食を食べながら、気付いたらPCを開いて企画書を書き始めていた経験がありました。企画に行き詰ったらまたサウナに入ることを繰り返しているうちに、サウナの景色と働く景色がどんどん混ざり始めていったんです。このオンオフのバランスがすごくよさそうだという気付きがありました。
自分の「好き」を優先しつつも、仕事との関わりを考えてみると、共通点が見えてくるんです。スカイスパにコワーキングスペースを整えたのも、コクヨはワークスタイルを提案する会社なので、そもそも親和性があったんです。
――自分の好きと会社の目的のすり合わせがカギになってきそうですね。
川田 スカイスパはコクヨで行う意義があったのですが、そうでない場合には個人でやったり社外の人と協力したりすることもあります。目的に応じて手段を変えながら行うことが大事だと思います。
あとはスモールスタートで社内のハードルを突破して、成功体験を重ねて拡大していくことも大事にしています。「大きいことやりたい!」って広げすぎると、なかなか会議が前に進まないので。
――親方や川田さんのサウナ活動も、まさにスモールで始めたところから、ブームへと拡大してきましたもんね。
川田 6年前は「サウナって何ですか?」って言われていたのが、最近では「サウナ私も好きなんですよ!」って身近なところからも聞こえてくるようになりました。好きな人にとっては日常になったサウナを通じて、人が繋がり、ゆるやかなコミュニティができ上がったらいいなと思っています。
親方 その昔トイレのウォシュレットが普及してきたときと同じだと思うんだよね、サウナの盛り上がりって。ウォシュレットが出てきた時は衝撃的で盛り上がったんですけど、今は当たり前になっていますよね。サウナは10年かけてここまで来たけど、今後はより幅広い人たちにとって当たり前になる日が来るかもしれないね。まだまだサウナを仕事にできるいろいろな可能性が溢れているよ。
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https://mf.workstyling.jp/event/szsd-szjsi/
取材・文/杉並バイブラー