スマホが満たす「心の三大欲求」

そもそも私たちはなぜ、ゲームにハマってしまったり、SNSにとことん夢中になってしまったりするのでしょうか。

理由はずばり、ゲームやSNSなどは、私たちの「心の三大欲求」を満たしてくれるから。

心の三大欲求とは、人とのつながり(関係性)、自分が何かできるという感覚(有能感)、それから、自分の意思に従って決断している感覚(自律性)のことです。

そしてスマホには、ゲームやSNS、YouTube動画など、この「心の三大欲求」を満たしうる要素が満載なのです。

ゲームを例にとって説明しましょう。

なぜ、人はスマホ中毒になるのか? 脳科学が示すスマホが満たしてくれる「心の三大欲求」とは?_2

まず、ゲームは対面やオンラインで一緒にプレーする人たちとのつながりを与えてくれます。仮に一緒にプレーする人がいなくても、友達との会話に出てきたり、バーチャル空間のキャラクターとの世界に没頭できる。つまりゲームは、脳がつながりを感じる機会をたくさん与えてくれるのです。

さらに、ゲームで難関をクリアしたり、できなかったことができるようになったりと、有能感を得られる機会も多い。

しかも、誰にやれと言われるわけでもなく、自分でやろうと思ってやっているので自律性も感じられる。

ですからゲームは、人間の心の三大欲求を満たしてくれるのです。要するに、人間の心を真の意味で充足させ、とりこにしてしまうのがゲームの正体なのです。

同様のことがSNSや、YouTube動画についても言えます。そして、そうした要素をふんだんに満載しているのがスマホ。要するにスマホは、人間の心の三大欲求を完全に満たしきってしまうツールなのです。

ある意味でこれは、スマホをたくさん使っている私たちにとっては朗報です。スマホをやったからといって、それ自体が私たち人間にとって悪いということは決してないからです。むしろ、心の基本的なメカニズムが働いて、健全な形で充足される状態を引き出してくれるとさえ言えるのです。

一方で、非常にやっかいなことでもあります。心が根本的に満たされてしまうので、やはり、自然とハマってしまう。ハマってしまうと抜け出しにくい。

さあ、どうやって、スマホ時間を減らしていったらいいのでしょう?