「ワー!」とか「ウオー!」という怒鳴り声が響いていました

こんな身勝手な暴走老人に籠城された郵便局一帯は、一時は恐怖のどん底に突き落とされた。間近の一軒家に住む60代の女性が振り返る。

「昨日は午後1時すぎくらいから、防災無線で『発砲があったので外出しないでください』という呼びかけが4回ほどあり、自宅にこもっていました。午後2時半ごろにパトカーのサイレン音が聞こえたので、2階の窓からのぞいたところ、10台ほどのパトカーが家の前に止まり、警察官やシールドを持った機動隊員が大勢出てきました。すると、いきなり『パーン』という破裂音が響き渡ったんです。郵便局の近くには野次馬のような人たちがたくさん集まっていて、警察官があわててその人たちに『逃げて!逃げて!』と指示していました。まさかピストルの音だとは夢にも思っていなかったのですが、テレビをつけたらすぐ近くの郵便局が映っていて『逃走してる男の立てこもり現場で発砲』と流れていたので、それでようやくあれは発砲音だったのかとわかりました」

突入前、入念に打ち合わせする捜査員たち(地域住民提供)
突入前、入念に打ち合わせする捜査員たち(地域住民提供)

この女性は発砲音の後、鈴木容疑者がわめき散らす声も聞いていた。

「何をいっているのかはわかりませんでしたが、『ワー!』とか『ウオー!』という怒鳴り声が響いていました。夜の7時ごろに再びガラス越しに外を見ると、郵便局の前で盾をもった機動隊員が5人ほどで列になって、パトカーの陰に隠れていて緊迫した状況でした。でも、刑事ドラマのように拡声器をつかって説得するような感じではなく、いたって静かでしたね。人質になっていた20代の女性が解放される場面も見ていましたが、郵便局の出入り口から肩を縮こませるように歩いて出てきて、かなり緊張した面持ちで機動隊の方たちに保護されていました」

女性は午後10時すぎ、テレビニュースで籠城男の身柄確保を知ったという。
「本当に昨日は怖かったし、近所の人たちが犠牲にならなかったのだけが不幸中の幸いでした」

郵便局員にけがはなかったが、病院の発砲では2人がけがを負った。情状酌量の余地も感じられない、後期高齢者の粗暴極まりない犯罪は、地域社会に迷惑だけ撒き散らして、あっという間に捕縛となった。

蕨郵便局
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

蕨警察署(撮影/集英社オンライン)

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