一番上出さんがヤバいかも
「食うこと、すなわち生きること」 をコンセプトに、リベリアの墓地に住む元人食い少年兵などを取材した番組『ハイパー ハードボイルド グルメリポート』シリーズ。2017年の放送以来、人気ドキュメンタリー番組として放送されるたびに話題を呼んでいる。
そんな異色のグルメ番組を生み出したのが、元テレビ東京プロデューサーの上出遼平さんだ。コミカライズ版『ハイパーハードボイルドグルメリポート新視覚版』では、リベリアでの出来事がマンガ化されているとともに、長編インタビューも掲載されているが、担当編集に上出さんの印象を聞いた。
——『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』に上出さんがゲスト出演していて、興味を持ち、書籍『ハイパーハードボイルドグルメリポート』(朝日新聞出版)を読んだそうですが、本を読んだ印象を教えてください。
書籍では、放送されていないシーンだけでなく、上出さんの心情なども書かれているんですよ。恐怖心や緊迫感が十分に伝わって読み応えがあるのもそうなんですが、上出さん自身がキャラクターになるなと感じました。
——どんなところが?
テレビ東京にいて、5~6年芽が出ずに番組を作れていなかったんですよ。それがあの番組一発で世の中に衝撃を与えました。はじめから天才というよりは鬱屈(うっくつ)した部分をもっていたり、スラム街に行っているのに潔癖症だったり、そういった背景です。あとは何より本人がぶっ飛んでますよね。
——現地人どころか警察も近づかない、リベリアの共同墓地に踏み込んでいくわけですからね。
実際にお会いすると礼儀正しいですし、ぼくとつとしてるんですよ。でも、こういう番組作っちゃう人なのでやっぱり狂気じみたところはあるのかなと(笑)。共同墓地も、結果生きてたからよかったですけど、やることなすこと全部すごいなと思います。
——狂気じみているとは?
話を聞いていると恐ろしいエピソードがたくさん出てくるんです。でも、いろんな番組で危険だと紹介されているスラム街の話になったとき、「あぁ、そこは観光スラムですよ」ってさらっとおっしゃっていて、「この人は違うステージにいるんだな」と感じました。
——いろんな危険エリアを渡り歩いたからこそ出る発言ですね。
番組でもギャングやカルト教団など、いろんなヤバい人たちが出てきますけど、上出さんが一番ヤバいかもしれないですね(笑)。
あの番組は上出さんだからできたコンテンツだと思いますよ。それに負けない個性がないと成り立たないはずです。マンガではタイトルに「新視覚版」という言葉がついているんですけど、それを提案したのは上出さんなんです。やっぱり目の付け所が違う、感覚が違うなと思いました。
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