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「チャンピオン」のマンガ以上にヤバいやつらが出てくる

「グルメ番組」を謳いながら、そこに映るのはスラム街の人々や墓地で暮らす元少年兵—。視聴者の日常から大きく離れた世界のグルメに、スポットを当てたのが『ハイパーハードボイルドグルメリポート』シリーズだ。2017年の深夜に第1回が放送されると、その異色さから瞬く間に話題に。2020年までに9回放送の人気ドキュメンタリーシリーズとなった。

そんな番組がマンガ化され、『ハイパーハードボイルドグルメリポート新視覚版』として「マンガクロス」にて連載、現在単行本1巻が発売されている。テンポよく進みつつも、映像とは異なる臨場感あふれる表現はマンガならでは。マンガ化のきっかけやそこに至る経緯を担当編集者に聞いた。

——そもそも話題の番組でしたが、マンガ化を考えた発端は?

番組は好きで観ていたんですけど、『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』に同番組のプロデューサー、上出遼平さんがゲスト出演していたんですよ。

ラジオの中で印象的だったのが、海外では日本車が出回っているんですが、カーナビも日本語だから彼らは操作ができない。勝手に長渕剛の歌が流れてきたりするらしいのですが、それを消したら救世主扱いされたとか、あれだけハードボイルドなことをされているのにしっかり笑いで落としてエンタメをやっていたんですね。

それで本人に興味を持って、書籍で『ハイパーハードボイルドグルメリポート』(朝日新聞出版)を読んでみたら、読み応えがすごくて、これをマンガにしたいと上出さんに打診しました。

——書籍では番組では映されていなかった部分もたくさん盛り込まれています。

この作品はWebマンガサービス(マンガクロス)での連載ですけど、昔ながらのチャンピオン好きな読者の方も多いんですよ。そういう意味では、タイトルからして「週刊少年チャンピオン」っぽいので受け入れられるかなと思いました。

——チャンピオンっぽいとは?

ちょっと一本ネジが外れたマンガが多いんですよ(笑)。『刃牙』や『クローズ』シリーズなど、やっぱりケンカとかヤンキーとか、いい意味でもお行儀がよくないマンガが中心で。

そんな殴りたきゃ殴るみたいなキャラクターがたくさんいるなかで、マンガ以上に、フィクションよりもすごいヤバい人がいっぱい出てきます。現実の話なのに、ぶっ飛んでるキャラクターの純度増しみたいな感じですよね。ドキュメンタリー路線ですけど、アウトローという本質は同じだなと思います。

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