渋谷の取り締まりが嫌で新宿へ流れ着いた外国人
その一方で、渋谷・道玄坂にあるクラブ街はにぎわっていたが、コスプレ姿の若者たちはほとんどいなかった。コスプレをせずにクラブの行列に並んでいた若者たちに話を聞いた。
「ぶっちゃけナンパ目的で渋谷のハロウィーンに来たんですけど、あまり盛り上がってない感じだったので、こっち(クラブ)でナンパしようかなって(笑)。例年だと、渋谷センター街にコスプレしてる女の子があふれているのに、今年はぜんぜんダメっすね。なんとかお持ち帰りできるように頑張ります」(20代男性・大学生)
「警察がウザすぎるんで『じゃあクラブで遊べばいいか』って感じでこっちに来ました。だって立ち止まったら注意されるし、酒も飲んじゃだめっていうし、そんなのつまらないじゃないですか? おまけにコスプレしてる女の子も少ないし、ぜんぜん遊び足りないのでクラブで発散する予定です」(20代男性・会社員)
渋谷区と警察による”異例”の対策が功を奏したのか、とくに目立ったトラブルはみられず静かな週末だった。そのいっぽうで、例年以上の盛り上がりを見せたのが新宿だ。
深夜の1時すぎ。取材班が新宿2丁目を訪れると、そこではコスプレ姿の男女が大勢集まり騒いでいた。コンビニ前の歩道は人が通れないほど路上飲酒する人で溢れかえっており、ゴミのポイ捨てもあちこちで見受けられた。路上飲みの大半は外国人コスプレイヤーで、聞くと渋谷の取り締まりが嫌で新宿へ流れ着いたという。
同じく異様な盛り上がりを見せていたのが、新宿・歌舞伎町の「トー横」と呼ばれる一帯だ。広場の中心では外国人たちが幅をきかせるかのように、大人数で複数の”輪”をつくって酒を飲みながら騒いでいた。なかには楽器を使って合唱している外国人グループもいて、その付近にはふだん見ないほどの大量の空き缶やゴミが捨てられていた。
この”異様”な光景について、トー横キッズはこう説明する。
「みんな渋谷じゃ路上飲酒できないし騒げないから流れてきたっぽいですよ。別にここは自分たちの敷地じゃないんで、誰が流れてきても迷惑とかは全然思わないです。なんかみんな楽しそうだしいいんじゃないですかね、お酒くれた人もいましたよ」(20代・男性)
区長が「ハロウィーン目的で渋谷に来ないでほしい」とメディアに訴え、厳戒態勢を敷いた“前哨戦”は、結果的に渋谷区の大勝利(?)に終わった形だが、若者や外国人たちは単に酒を求めて別の場所に移動しただけ、といえるかもしれない。
本番は果たして…
取材・文・写真/集英社オンライン編集部ニュース班
撮影/soichiro Koriyama