リスキリングに重要な3つのマインドセット
——個人がリスキリングに取り組む際、与えられたツールや環境を最大限に活かすコツを教えてください。
私はリスキリングに必要なマインドセットとして、以下の7つを挙げています。
1 「まずやってみる」を心がけよう 〜正解への辿り着き方は後から考える〜
2 コンフォートゾーンから飛び出そう 〜健全な危機感を持つ〜
3 6割理解のままで突き進もう 〜「知らない」を恐れない〜
4 何度でも同じプロセスを繰り返そう 〜「忘れた」で落ち込まない〜
5 いつでも軌道修正しよう 〜何度でも方向転換 〜
6 すぐに成果が出なくても焦らない 〜しなやかなレジリエンス〜
7 発展途上の自分に自信を持つ
各項目の内容は先日出版した『新しいスキルで自分の未来を創る リスキリング 【実践編】』でご確認いただけたらうれしいのですが、その中でとくに重要なのが
「『まずやってみる』を心がけよう」
「コンフォートゾーンから飛び出そう」
「発展途上の自分に自信を持つ」
の3点です。
もっとも大事なのが、まずやってみること。やる前からその行動が成功か失敗かはわかりません。やってみた結果生まれた感情を受け止めて、次のステップに活かすことが大切です。
次に、自分のコンフォートゾーンから飛び出していくこと。時代の変化が速い昨今では、安全圏内に留まり続けるほうが危険です。とはいえ、すぐに一歩を踏み出すのが難しい人は、情報収集のやり方から変えるのがおすすめです。例えば、Webからのインプットが多い人は、オフラインの勉強会に参加してみてください。自分を変えるきっかけになるような出会いが待っているかもしれません。
そして、発展途上の自分に自信を持ってください。リスキリングのゴールである労働移動の実現には、長い時間が必要です。その中で挫折しそうになっても、目標に向かって新しいことに挑戦している自分を肯定できれば、前向きに進み続けることができます。
——個人が、リスキリングのゴールである職種転換を実現するためのコツはありますか?
もっとも簡単かつ効果的な方法は、自分が実現したい職種転換をすでに実現した人の話を聞きに行くことです。たいていの場合、それは社外の人になります。なぜならリスキリングの目的は成長市場、具体的にはDXやGXといった領域への労働移動であり、それらの知見を持つ人が社内にいるケースはおそらく少ないためです。
——最後に、リスキリングという新しい挑戦を目前にしつつも、一歩を踏み出せずにいる読者に向けてメッセージをお願いします。
20〜30代のころは、自分の現在地と理想のあいだに大きなギャップがあるものです。私自身、そのギャップにとても苦しんだ思い出があります。では実際にその苦しみをどう乗り越えたかというと、自分の挑戦を周りの人に発信したことがブレイクスルーにつながりました。
たとえわずかな前進でも、挑戦している人には周りがチャンスを与えてくれるものです。ぜひ、小さな一歩でも踏み出し、それを発信してください。
取材・文/園田遼弥 写真/shutterstock
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