初潮を迎えるあなたと、からだで起きていることを話そう
思春期と更年期。どちらも女性にとって大きな変化の時期ですが、からだとこころの浮き沈みはなぜ起こるのか。そこには、女性ホルモンの変動が大きくかかわっています。
思春期において、女の子のからだはより女性らしく変化していきます。おっぱいがふくらみ、おしりも大きくなり、脂肪の量が増え丸みをおびます。これらのからだつきの変化を迎えてから、もっともセンセーショナルなできごとともいえる初潮(最初の生理)がやってきます。
初めての生理よりもからだつきの変化を先に経験しているからこそ、そのあとにどんな変化が起こるのか、あらかじめ伝えることができるわけです。
からだつきの変化がはじまったら、これから起こる変化、つまり初潮について、あなたから娘さんに少しずつ話す機会をもっていただけるといいですね。
では、なぜ生理は起こるのでしょう?
生理をシンプルに説明すると……。
まず、卵巣からエストロゲンが分泌されて、分泌がピークに達すると排卵が起こります。すると、プロゲステロンが分泌されて、次第に厚くなってきた子宮内膜─受精卵のベッドになるもの─が妊娠に適した状態に整えられます。しかし、妊娠が成立しなかった場合、準備していた子宮内膜は使われることなく、子宮内膜がはがれる際に出る血液と一緒に排出されます。これが生理です(図1-1)。
エストロゲンとプロゲステロンは、どちらも女性ホルモンです。そして、からだつきが丸くなることと初潮を迎えることは、いずれもこの二つのホルモンの作用による変化であって、切っても切り離せない関係があるのです。
そもそも、エストロゲンが分泌されなければ、生理は起こりません。
では、エストロゲンをつくるのに何が必要かというと、コレステロールです。コレステロールは脂質(脂肪)です。つまり、ある程度の脂肪がないと、エストロゲンが分泌されないわけです。
小学校高学年(10〜12歳)あたりで初潮がくるためには、脂肪量が増えてからだが丸みをおびてくることが必要です。なぜなら、脂肪細胞から分泌されるホルモンが、卵巣の働きをスタートさせるからです。
からだが成熟しきっていないうちは、エストロゲンの分泌量が安定しないために月経周期が不規則だったり、重い生理痛を経験したりすることがあります。
そのほかにも、生理前にイライラしたり落ち込んだりといった月経前症候群(PMS)があらわれることもあります。
年齢を重ねていくと、自分はどういう症状が出やすいタイプなのかがだんだん把握できて、限度はあるものの、それなりに自分で対処できるようになりますが、10代のうちはなかなかそうはいきません。
思春期はからだの変化に加えて、こころも成長する時期です。からだの成長とこころの発達がかみあわずイライラしたり、自分では大人だと思っているのに周囲に子ども扱いされて不満を抱いたりということもよくあるそうです。
この時期に伝えたい情報は二つ。
はじめての生理(初潮)という、女の子にとって強烈なインパクトのあるできごとがおとずれること、そして、生理がくるということは、エストロゲンがきちんと分泌されていて、あるべきからだの成長のみちすじに正しく乗っかっているということです。
まずはこのことを思春期まっただなかの娘さんに、ある程度知ってもらうことが大事です。自分のからだの内側でどんな変化が起きているのかを知ることで、不安を減らすことができるはずです。