選択肢がなくなってきた解散日程

こうした批判の中でも、首相は衆院解散に積極的とされているが、首相が模索している「経済対策で支持回復→年内解散」の選択肢は限られてきている。
そもそも、12月は来年度の予算編成や税制改正議論が大詰めを迎える時期で、ただでさえ衆院解散は難しい。

「首相は、臨時国会での補正予算の成立をめざすと強調しています。補正予算が成立した後に解散するとなると、12月の投開票が現実的です。
12月の日曜日は、3,10,17,24,31日ですが、補正予算案の審議の日程を考えると3日はきつい。10日は前日が皇后さまのお誕生日のため、首相が皇居にお誕生日行事に行くことになりますが、選挙戦最終日は接戦の選挙区に最後のテコ入れに行きたいでしょうから、行動が制約されることは避けたいでしょう。

最有力とされる17日投開票も、東京開催のASEAN特別首脳会議(12月16~18日)とかぶる。24日投開票だと、これも前日が上皇さまお誕生日となります。31日は大晦日ですから、ありえませんし……」(自民党関係者)

解散時期をはかりかねている岸田文雄首相(本人Facebookより)
解散時期をはかりかねている岸田文雄首相(本人Facebookより)
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年内の解散を見送ると、首相が再選をめざす来年秋の自民党総裁選前まで、日程の選択肢はもう多くない。

「年明けは予算審議があり、解散は現実的ではありません。
とはいえ、予算委員会では連日、首相や大臣が野党の追及の矢面に立たされるため、予算成立後の解散も難しい。
総裁選目前の夏の総選挙が考えられますが、政治は一寸先が闇の世界。そのときに解散を打てるような政治状況かどうかは、わかりません」(全国紙政治部記者)

こうした状況に、自民党内からも焦りの声が聞こえる。

「9月中旬の情勢調査では、衆院を解散した場合、自民が現有議席から40以上減らし、単独では過半数を維持できないという結果が永田町に出回りました。
物価高も落ち着かず、この先、支持率が回復する見込みも立っていません。『だからサミット後の6月に解散しておけば』と、首相の政治センスを疑問視する声も上がっています」(自民党関係者)

首相がメガネの先に見通す戦略は……。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班