事件から1年がたった今年1月、少年の父親は、取材に訪れた記者に深々と頭を下げた。
「本当に申し訳ありません、まだ裁判が終わってないので被害者の方にもお詫びができたりできなかったりで、謝ることしかできないです、いろいろな方にご迷惑をおかけして本当にすみません」
――息子さんの面会には行かれていますか。
「それもなかなか行けてなくて、弁護士さんにお任せしてますので、あまり知らないところもありますが、なんとか反省して過ごしてるようです」
――ご近所のみなさんがご心配されていました。
「みなさん挨拶してくださり普通に接してくれて感謝しかないです。事件があってたくさんの人が来たのでだいぶご迷惑をおかけしてしまったのに……。本当になんであんなことになったんだろうと思います。命はかけがえのないものだと言い聞かせてきたのに足りなかったのかなとか思うところはあります」
――事件前日の息子さんのご様子はどうでしたか。
「それがわからなくて……前日からいなくなってたもんですから家族で血眼になって探してたんですよ。いなくなる前も普通だったもんですから、本当何も変わらずで」
――18歳になった息子さんと成人の日に会えないのは辛いですね。
「そうですけど、やっぱりまずは被害者の方に早く回復していただきたいなって気持ちです、息子はその次ですね」
――ご家族の生活の状況や影響はどうですか?
「加害者側がこれを言ってはいけないと思いますが、全然元になんかは戻れてないです。まわりの目が気になったり、弟や妹が学校に行けない日もあったりとか。まだ小さいので、わかっていない部分もあって。」
――お子さん達がお兄さんの状況をちゃんと理解してないんですか?
「面会には数回一緒に行ったりもしたんで多少は理解してると思いますけど」
――息子さんのご様子はどうでしたか。何をおっしゃってました。
「元気ではなかったです。被害者の方に申し訳ない気持ちだと言ってました」
――いつごろのことですか。
「家庭裁判があった時(2022年6月)くらいに面会しました」
――最近は会われてないんですか?
「そうですね、手紙のやり取りはしてますので。すみません弁護士にも喋るなと言われてますので、失礼します」
祝日でスウェット姿の父親は、取材中何度も謝罪し、最後も深く頭を下げて子供たちの声がする家の中に戻っていった。
取材・文/集英社オンラインニュース班