再びヤマト本社に回答を求めると…

実際にヤマト運輸に15年勤務しているという無期雇用契約社員もこう嘆く。

「私はMD(メール便ドライバー)で、今年の春先に無期雇用契約をした矢先に今回のニュースを見て驚きと大変なショックを受けました。再就職支援もあるようですが、自分は50代なので正直再就職は厳しく、今は不安しかありません。同僚たちも使い捨てにされているイメージが強くなってきています。パート(契約社員)だからなのか、慰労金も世間一般の金額よりもはるかに少ないですし。ヤマト運輸は人を大切にする社訓がありますが、まったくの正反対です。自分たちはひとつの小さな駒にすぎません」

また、取材を進めるうちに、関西エリアで長年パート社員として働いている女性からはこんな声が聞こえてきた。

「私もセンターで無期雇用の契約社員として働いていますが、9月の頭に支店長に呼ばれて『来年1月31日以降は契約できない』と言われました。でも、私はおもに『FC(フィールドキャスト)』というドライバーの補助スタッフのような役割で、DM便業務とはまったく関係ないんです。だから会社の決定にどうしても納得いきません」

この女性だけでなく、来年1月以降はすべてのFCとの契約を打ち切るとのことで、支店長に理由を聞いても「会社都合」としか答えてもらえなかったという。

8月の説明会で配られた支援内容についての資料
8月の説明会で配られた支援内容についての資料
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「同じセンターで働くドライバーたちも『なんでFCがクビになるん!?』と驚いていました。今後は社員にしわ寄せがいくでしょうが、それよりも深刻なのが、地域のご家庭とのコミュニケーションです。
FCは車で入れないような細い道にあるご家庭に、台車に荷物を積んで配ったりするのですが、訪問するご家庭のなかには、ご高齢の方や体の不自由な方もいます。

そういった方たちと軽くお話ししたり、サービスの一環として自宅の中まで荷物を運んであげることも多かった。これをドライバーひとりでやるのは難しいだろうし、そうなると、ヤマトの真髄でもあったサービスの質はどんどん落ちていくでしょうね」(同)

今回の話を受けて再びヤマト本社に問い合わせをすると、以下のような回答が寄せられた。

「いずれのご質問も、個別の契約に関わる事項であり、また現在、対象者となるクロネコ DM便・ネコポスに関連する業務に関わる方、お一人おひとりに説明を行っているところであるため、当社からの回答は差し控えさせていただきますが、これまで業務を支えていただいてきたすべての方に心から感謝を申し上げます」

ヤマト運輸の社訓は「ヤマトは我なり」。“人”を会社の一番大切な財産と位置づけている同社だが、この回答に誠意が込められていると感じる個人事業主や契約社員がどれほどいるのだろうか。


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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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