ドラスティックに変革しないと「本質的な価値」は追求できない

──2014年の取締役時代には、デニーズ日本上陸40年のタイミングでメニューの8割を刷新する施策を推進しました。また2017年の社長就任時には、デニーズの象徴だった「フルサービス」に見直しをかけ、「ドリンクバー導入」の意思決定をされました。小松社長が、こうしたドラスティックな改革を行う狙いはどこにあるのでしょうか。

本質的な価値を提供するためには、抜本的に見直し、変革していくことが重要だと考えています。例えば、私が社長に就任した際には「ドリンクバー導入」を働きかけました。もちろん人件費の削減や人材採用の面で苦労していた側面もありましたが、「デニーズのフルサービス型に、果たしてお客様はどこまで価値と感じているのか」をいま一度考え直す必要があったからです。

他社ではすでにドリンクバーが置かれていて、お客様もその体験自体には慣れている状況で、デニーズのフルサービス型の接客は本当に求められているのか。

いろいろと考えた末にドリンクバーの導入を行い、お客様と新たな接点の創出を強化しよう。そう思い、最初は数店舗でテストしたところ、各店舗の店長から「これは絶対に全店に導入するべきだ」という強い要望がありました。さらにはお客様からも好意的な意見が多く、そこからドリンクバーの全社導入に至ったという流れになっています。

たくさんの店舗で現場を経験してきた小松氏だからこそ現場での声を大切にしている
たくさんの店舗で現場を経験してきた小松氏だからこそ現場での声を大切にしている

──最近では人気シェフ監修のコースメニューなど、デニーズは商品開発にも注力しています。商品を開発する上で意識していることなどがあれば教えてください。

お客様にとって、どんな商品を提供すれば、喜んでもらえるのか。

食のトレンドや消費志向には常にアンテナを立てるように意識しています。ただ、単に流行を追うのではなく、お客様のニーズやシーズを探るようにしていますね。

デニーズではセントラルキッチンを持っておらず、自社の仕入れ部門と商品開発部門、そして取引先メーカーとタッグを組んで、商品開発を行っています。世の中には食を専門としたメーカーがたくさんあり、そういった外部リソースを活用することで、品質の高さと機動力を持つことができる。デニーズとしても、専門分野は取引先メーカーに任せ、そのぶんの時間をメニューの考案や定番商品のブラッシュアップに費やせるわけです。