日本は「ブースター接種先進国」

こちらについてデータがあるのは210か国なのですが、日本は133.36で世界3位です。ただ、1位のジブラルタルはイギリスの海外領土であり、人口も3万数千人しかいないので、比較対象としてあまり適切ではありません。

イギリスはその他にイングランドが112.6、イギリス王室属領であるガーンジーが109.49ですが、「United Kingdom」で見ると59.81 です。

OECD加盟国で100を超えているのは、日本とチリのみであり、かつ、他の加盟国を大きく引き離しています。極めてたくさん追加接種を行っていることが分かります。

日本は「ブースター接種先進国」と呼んでもよいでしょう。1回接種・2回接種の接種者割合も上位に位置する上、このように100人あたり追加接種回数が世界トップクラスですから、日本は世界的に見ても極めてワクチン接種に積極的な国と言えます。

なお、2022年11月7日付財務省の資料「社会保障」によると、令和2(2020)年度〜4(2022)年度にワクチンの確保に2.4兆円、ワクチンの接種に2.3兆円、合計4.7兆円が投入されたようです。これはこの資料が作成されるまでに発生した費用ですから、今はもっと増えて5兆円は超えているでしょう。

ではその効果についてはどうでしょうか。感染予防効果、発症予防効果、重症化予防効果、後遺症予防効果に分けて見ていきましょう。

世界と比べても「ワクチン接種」しまくった日本人…それでも2022年からコロナが急増しているのはなぜなのか_4

感染予防効果

ワクチン接種率と感染者の推移を見ることで感染予防効果の有無を確認していきたいと思いますが、そもそも「感染」とは何でしょう。厚生労働省のウェブサイトを見ても肝心の感染の定義が載っていないのですが、世界大百科事典第2版はこう解説しています(太字は引用者)。

病原微生物がヒト、動物、植物の組織や体液に侵入し、あるいは表面に定着して増殖する状態になるのを感染という。微生物が体内に入っても、すぐに死滅してしまったり、素通りしてしまう場合は感染とはいわない。

このように、「増殖する状態になる」ことが必要です。体に侵入してきたコロナを免疫で「瞬殺」できれば、PCR検査にも引っかからないでしょうから、感染はしていないことになります。

デジタル庁のサイトを見ると、1〜3回目のワクチン接種率の推移を確認できます(図4)。

世界と比べても「ワクチン接種」しまくった日本人…それでも2022年からコロナが急増しているのはなぜなのか_5
図4 新型コロナのワクチン接種率の日次推移。『全検証 コロナ政策』より

なお、1回目と2回目接種については、一般接種のみを対象としているので、首相官邸が公表している接種率よりやや数字が落ちます。

これを見ると、2021年4月からワクチン接種が開始され、同年11月には2回目接種が70%を超えていますので、一通り接種したことになります。3回目接種については、同年12月から始まり、翌年の6月には60%を超えましたが、70%に届かないあたりで止まっています。