アメリカでは「なりすまし」の被害が2年で2兆円

実際に「フラットモデル」のアメリカでは、他人の社会保障番号を入手した人が、その社会保障番号の所有者になりすまして銀行預金を引き出したり、クレジットカードを使用したりする詐欺被害が多発しています。

このなりすましによる被害者は、アメリカ全体で、2006年から2008年までの2年間で、約1170万人。被害総額は日本円にして2兆円と言われる途方もない金額になっています。

そのため、アメリカでは、社会保障番号が利用できる分野を制限しようとする動きが始まっています。

韓国でも、利用範囲を拡大させる中で、住民登録番号が盗まれ、本人になりすましてシステムに侵入する事件が多発しています。そのため、当初よりも利用範囲を限定し、法律が認めた場合を除いて、民間事業者による住民登録番号の収集が禁止されるに至りました。

どう考えても怖すぎるマイナ保険証「シンガポールでハッキング」「米国ではなりすまし被害が2年で2兆円」「英国では廃止に」どうする、日本_3

イギリスでは「マイナンバーカード」が廃止に

イギリスでは、「マイナンバーカード」にあたる「国民IDカード」を発行するための法律が2006年に成立しましたが、人権侵害への危険や、巨額な費用がかかること、さらには情報漏洩の危険が拭えないことから2010年に廃止しています。

その代わり、2016年に公共サービスの共通認証プラットフォームが導入され、利用者が望めば、政府の認証を受けたデジタルIDが発行され、オンラインで行政サービスが受けられるようになっています。

イギリスでは、デジタルIDをつくるサイトで、簡単にオンラインでIDを発行してもらうことができます。免許証などの身分証と一緒に写った写真を送り、自分しか知らない質問に答えたり、銀行口座にオンラインでサインアップするなどの方法で本人認証ができれば、簡単に発行してもらえます。

このIDで、政府のサービスなどへログインできますが、あくまで希望者のみに与えられるIDで、使う方も、自己責任であることを最初から心得ています。