社員も「運転手不足は表向きで
ただのコストカット」

給料は完全歩合制、配達した郵便物の数で決まるというが、昔と違い、今では1日に5~6000円しか稼げなくなっていたという。
また、この男性はこの仕事を続けたい理由を収入以外で次のように挙げる。

「このくらいの年齢だと定年退職して家に引きこもる人も多い。でも私は週に6回、朝8時から夕方5時まで自転車で配達しているから、まわりの人よりも健康にすごせているよね。
マンションのポストに配達物を入れていると管理人さんと趣味の話で盛り上がったり、ご飯の誘いを受けたりと、人とのコミュニケーションもひそかな楽しみだったから辞めなきゃいけないのは悲しいよね……」

日ごろから個人事業主の配達員と顔をあわせるマンションの管理人(50代男性)も、「ヤマトの人が来なくなるのは悲しい」と話す。

小型荷物の配達に利用される自転車
小型荷物の配達に利用される自転車

「自分はまだこのマンションに勤めて1年も経ってないけど、ヤマトのポスティングの方とは挨拶をしたり軽く雑談をしたりと仲よくしてます。その当たり前の日常がなくなるのは寂しいですね」(50代・男性)

今回のヤマト運輸の決定に対し、現場で働く正社員はどう思っているのか。都内のヤマト運輸の営業所にて正社員として働く配達員(40代・男性)はこう話した。

「ウチの営業所にも小型荷物の配達を請け負っている個人事業主の方はいて、40代から60代くらいが多いかな。
自前の自転車とか営業所の台車をつかってポスティングしているから、2024年問題は関係ないと思います。

それに来年1月まではクロネコDM便があるので、それまでに辞められてこっちにシワ寄せがきたらイヤだなという思いしかありません。そもそも現場を知らない本社の意向には、これまでもさんざん苦しめられてきましたし、今回も表向きでは運転手不足への対応とか言ってますけど、ただのコストカットでしょう」