バブル崩壊と男女の異なる姿

「あんなに大きな会社が潰れるなんて」「もう結婚どころじゃない」

そんな声が相次いだのは、’06年、拙著『独身王子に聞け!』(日本経済新聞出版)の取材中でした。私は弊社の女性スタッフと、団塊ジュニアを含む30〜40代男性約60人にインタビューしたのですが、彼らの多くはバブル崩壊によって「傷ついた戦士」となっており、私たちも(1)バブル崩壊と経済不況と、未婚率上昇との関係性を痛感したのです。

一方で、その2年前、拙著『男が知らない「おひとりさま」マーケット』(同)の取材で、同年代の働く女性たちに取材した際は、まったく違いました。

彼女たちは’90年代後半の「均等法(男女雇用機会均等法)改正」によって、「これでようやく男性と肩を並べて働ける」「これからは、会社で(「早く辞めたら?」など)肩叩きに遭わずに済む」など、多くが意気揚々と前を向き、不況の最中でもまだ希望を抱いていたのです。

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ですがそのことが、結果的に「結婚の先送り」に繋がった、とも考えられています。まさに、先の(2)女性の社会進出と、未婚率上昇の関係性です。

(2)については、’90年代半ば〜後半に起こった出来事、すなわち

①女性の高学歴化
②共働き家庭と専業主婦家庭の逆転
③男女雇用機会均等法(均等法)の改正


が、よく例に挙がります。②は「結婚後」の事柄なので、ここでは①と③を見てみましょう。

まず①高学歴化は’90年代半ば、女性の間で、短期大学の進学率を4年制大学の進学率が初めて上回ったことを指します(’21年内閣府「男女共同参画白書」)。どちらかといえば、未婚化より「晩婚化」と相関が強いとされる事象です。

一方、これとほぼ同時期に、③均等法改正が成されました。施行自体は’86年でしたが、企業に対し「女性を採用段階や採用後に、男性と差別(区別)して扱ってはならない」とする内容は、施行段階ではまだ「努力義務」であり、’90年代後半に初めて「禁止事項」となったのです。

その後、’00年代に入り、セクハラやパワハラの禁止などコンプライアンスに厳しい社会に変化したことや、人手不足により女性が貴重な労働力として見直されたことなどもあり、職場も少しずつ、真の〝男女平等〞へと向かい始めました。一般に「均等法第一世代」と呼ばれるのが、私たち「真性バブル世代(’65〜’70年生まれ/現53〜58歳)」で、その1つ下の世代が団塊ジュニアです。

不況時に入社した団塊ジュニアは、真性バブル世代ほど仕事に夢を抱いておらず、いわゆる「バリキャリ(バリバリ働くキャリア女性の意)」志向も弱い印象です。それでも、「女性も経済力を身につければ、無理に結婚しなくてもいいんだ」という新たな時代の幕開けや、その喜びは、私たち真性バブル世代の女性同様、少なからず感じていたことでしょう。