“恋のキューピット”になった事例も

その他の導入企業では、部署ごとに当番制を敷き、ふだんはあまり接点のない部署と交流できる機会を作ることや、週ごとに雑談のテーマを定めて会話の促進を図るなど、企業によっていろんな創意工夫が見られるとのこと。

こうしたなか、おごり自販機をきっかけにさまざまな“心温まるエピソード”が生まれているとか。

「『ペアになった相手と登山部を結成した』、『飼っているペットの種類が共通で、同じ話題で盛り上がれる友人ができた』、『出産を控える後輩の話を聞き、お祝い会を開くことになった』など、おごり自販機を通じて生まれる交流から話が弾み、さらに関係性を深めていくことにつながっています」

また、おごり自販機は導入先ごとに、利用可能な曜日や時間、利用の上限数が設定できるとのことだが、同じ相手とばかりの利用とならないように、同ペアの利用を制御する機能があるという。
これにより新たな利用相手を“誘う口実”にも使いやすく、新たなペアが増え続けているとのこと。昨今におけるコンプライアンス意識の高まりは、2人きりでランチやディナーといった食事にも誘いづらい雰囲気がある。

導入企業での利用状況 資料提供/サントリー
導入企業での利用状況 資料提供/サントリー

そんななか、「2人で一緒に自販機へ行く」だけであれば仕事の気分転換にもなって、気兼ねなく誘いやすい。

「おごり自販機がきっかけで、お付き合いにまで発展したというお話も導入企業からいただいていますね。『おごり自販機が恋のキューピットになった』と言っていただいて、サービスを提供する弊社としても、非常に心温まるエピソードだと感じています。これからもおごり自販機ならではの新しい付加価値を追求していき、導入企業を増やしていけるように尽力したいと思います」

テレワークなど働き方が多様化するなかで、社員間のコミュニケーション不足解消のために開発されたおごり自販機。そこでの交流がきっかけで結婚する“自販機婚”なんてカップルが誕生する日もくるかもしれない。

取材・文/古田島大介