「僕が作った曲で日本の音楽のレベルを問われるかもしれない」

――最終的にどんな作曲家になりたいとか、どういう曲を作りたいとか、なにかビジョンはありますか?

“今を生きる作曲家”になりたいんですよ。今なら2020年代という時代を切り取りたい、2023年を感じる曲を作りたいんです。ベートーヴェンの時代の曲を、今の僕が焼き直しても音楽史には刻まれない。ベートーヴェンはその時代の曲を作っていたし、バッハもその時代の曲を作っていたし。だから僕も今を生きて今の音楽を生み出して、それをこの時代の音楽として多くの人に聴いてもらいたいんです。

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――後世にも残る曲を生み出していきたいと。

まぁそんな大げさなことをいつも考えてるわけじゃなくて、普段は「好きな音楽をやって飯食っていければいいか」ぐらいの感じですよ。ただもし、アメリカ人が日本人の友達に「最近日本でなにが流行ってるの?」って聞いたとしたら、『ジョジョの奇妙な冒険』とか『名探偵コナン』とかを紹介する可能性は充分あるわけで。そうしたら、僕が作った曲が“世界から見た日本の音楽”ってとらえられて、日本の音楽のレベルを問われるかもしれない。だから日の丸を背負ってるっていう気持ちも少しあるんですよ。

取材・文/堺屋大地 写真/下城英悟