2人のサプライズ人事で刷新感を演出
岸田首相が前回総裁選で戦った河野太郎デジタル担当大臣や、高市早苗経済安保大臣を留任させたのも、同様の狙いがあるといえるだろう。
河野氏はマイナンバーカード問題で信頼を失っており、高市氏も4月の奈良県知事選で保守分裂を引き起こして維新に知事の座を取られるなど、ライバルとしての力は弱まっていると見られている。それでも、閣内に残して動向を監視することで、さらに2人を牽制したかたちだ。
また、麻生太郎副総裁や萩生田光一政調会長などを続投させたのも、岸田氏が党内基盤の安定性を確保するためだといわれている。
一方、骨格以外の閣僚で初入閣や若手女性の登用が相次いだのは、サプライズ人事によって内閣支持率を上昇させ、年内解散を視野に入れるためだ。
大臣職は衆議院議員だと当選5回、参議院議員だと当選3回以上が目安とされている。
だが、加藤鮎子こども政策担当大臣は衆議院当選3回、自見はなこ地方創生担当大臣は参議院当選2回での大抜擢だ。
これまでも年功序列を無視して若手を閣僚に起用した例はあるが、ひとつの内閣で例外が2人も出るのは珍しい。
このような人事で刷新感を演出し、内閣支持率低迷からの脱却を図ったと見られる。
10月中旬にも召集される臨時国会で岸田政権は、補正予算を編成して大規模な総合経済対策を打つ予定で、永田町では早くも「その勢いに乗って解散総選挙をするのではないか」と警戒されている。
ともに大安である11月14日に公示し、26日に投開票されるという日程案まで関係者の間では出回り始めた。
しかし、若手の大臣起用はリスクも伴う。大臣は国会答弁や記者会見、講演やパーティーなどでの発言が厳しくチェックされ、少しでも口が滑れば簡単に首が飛ぶ立場でもある。
岸田首相による新顔起用がうまくいくかは未知数だ。