ネコの寿命はいまの倍の30歳くらいになる

しかし、ここで重要なのは、ネコが腎臓病になってしまう主たる原因が、AIMが先天的に機能しないという点だ。

すなわち、一種の〝遺伝病〞であると考えて間違いない。

遺伝病である以上、ネコで腎臓が悪くなるのは宿命であり、基本的に必ず全員が悪くなるわけで、尿細管の詰まりによるネフロンの死は、私たちとは違って、生後まもなくから、すべてのネコですでに始まっていると考えられる。

猫の寿命が30歳に? 子猫の頃から「AIM」を投与し、遺伝病である腎臓病を発症させないようにする最高の医療とは_3

ならば、AIMの最も効果的な使用法は、生後すぐからAIMを定期的に投与することである。そうしておけば、尿細管の詰まりは定期的に掃除され、ネフロンの破壊も進まず、そもそも腎臓が悪くならないはずだ。

つまり、AIMを子猫のときから投与すれば、「ネコの寿命はいまの倍の30歳くらいになる」と考えることができる。多くの獣医師の先生方からもそのように言われた。

しかし、このようなAIMの使い方は、ネコにとっては最高の医療であるが、これから薬を作り、「治験」を行い、薬としての承認を得るためには、適当であるとはいえない。

なぜなら、薬の効果を調べる治験では、被験者(この場合は被験ネコ)を2グループに分け、一方のグループにはAIMを投与し、他方にはAIMを投与しないで、腎機能の差を比較しなければならない。

しかし、生後すぐ観察を始めた場合、AIMを投与していないグループで、血中の腎機能マーカーが上昇して腎臓が悪くなっていると判断できるまで、数年はかかってしまう。それでは、治験を行うのには長すぎる。

猫の寿命が30歳に? 子猫の頃から「AIM」を投与し、遺伝病である腎臓病を発症させないようにする最高の医療とは_4

いったん承認を受けて薬として使われるようになれば、その後は獣医師の先生方に、生後すぐからの投与も含めていろいろなステージの患者ネコにAIMを使ってもらえばよいのだが、治験では、AIMを投与する群と投与しない群との間で、腎機能に明らかな差をできるだけ短時間で出す必要がある。