「会話のラリー」というインスタントメッセージの罠

インスタントメッセージを使用する子どもたちは、どうして学力が低いのでしょうか?

まずはインスタントメッセージの特徴について考えてみましょう。最初に挙げられる特徴は文章の長さです。

インスタントメッセージでのやりとりは、従来のメールと比べて短い文章で行なわれます。メールよりもチャットに近いような感覚です。短文に加えて、LINEの場合はスタンプと呼ばれるイラストによってやりとりもできます。

このように、短文とスタンプを中心としたやりとりになるため、従来のメールよりも会話のラリーの数が多くなります。つまり、それだけスマホに通知が届く回数が多くなるわけです。

約6割の子どもが勉強を中断して即レスしてしまうスマホのメッセージの罠。通知音だけでも集中力が低下する驚くべき実験の事実_3

もう一つ、通知の回数が増える要因として考えられるのが、グループトークの機能です。

インスタントメッセージは、従来のメールと同じような1対1に加えて、複数人が一つのグループに入って同時にやりとりができる、グループトークという機能があります。

例えば家族やクラスメイトでグループを作り、自由にメンバーを招待することができます。LINEの場合、最大500人のグループを作ることができるそうです。当然ながら、グループの人数が増えるほど、やりとりの回数が増えます。場合によっては、少し目を離した隙にLINEの通知が何百件と溜まっていることもあります。

最後に、自分がメッセージを読んだことが相手へ即座に伝わる「既読」機能が挙げられます。「既読」したにもかかわらず、返信をしないことは「既読無視」と呼ばれています。ちなみに、どちらもしないことを「未読無視」と呼ぶようです。

このように、インスタントメッセージを使っている人たちの中には、「返信がない」イコール「無視されている」という認識を持っている人が少なからず存在しているわけです。そのため、メッセージを受け取ったら、相手に無視されたと思わせないように、「早く返信しなくては……!」という焦りが生まれてしまうのです。