女性の肉体美
――作画で筋肉を描くときのこだわりはありますか?
これはいい例として言いたいんですけど、例えば『ドラゴンボール』とかって、人体としてざっくりはあってるけど、あくまで漫画の筋肉なんです。でも、めっちゃかっこよくまとまってるじゃないですか。そういう絵が自分には描けなくて。ここは棘下(きょくか)筋、ここは腹斜筋と、すべて意識して線を引かないと描けないので、存在しない筋肉が描けない、描かないというのはこだわりかもしれないです。
――『筋肉島』には身体の大きな族長が出てきますが、あれも実在ベースで考えているんですか?
そうですね。身長2m 50cm、体重270kgを、おそらく体脂肪率8%くらいでキープできる人類は、ほぼ存在しません。でも、もし何らかの奇跡が起きたらありえるかもしれないな、ぐらいのレベルだとは思ってます。過去には身長2m 70cmの人間もいましたし、実際に身長2m 30cm、体重180kgぐらいで筋肉をキープしたかっこいい体のプロレスラーもいました。だから、可能性がゼロではなく、0.0000……1%でもあれば、描けるんですよね。
――族長の娘であるシーラもマッチョですが、女性キャラクターの場合は女性ビルダーを参考に?
どちらかというと、オリンピックに出るような女子バスケットボール選手や女子陸上選手ですね。アリソン・フェリックスというアメリカの陸上選手の肉体が美しすぎて、よく参考にしていました。
――先日、カーリングの藤澤五月さんが、ボディメイクコンテストに挑戦したことが話題になりましたが、異性としてもああいった鍛え上げられた身体に惹かれたりしますか?
スポーティな女性は大好きなんですけど、コンテストに向けて皮一枚にまで仕上がったボディビルダーを見ると、たぶん女性ではなく「マッチョ」として認識してしまって、恋愛対象という風には見えなくなってしまう気がします(笑)。もちろん、そこまで絞るのはコンテストのときだけですけど、個人的にはやっぱり女性は体脂肪が少し残っているくらいがいいなと……。
ただ、藤澤さんの挑戦は素晴らしいと思います。転向していきなりあそこまで仕上げてきたのはすごい。やっぱり、スポーツで上に行く選手は頭がいいし、きちんと調べて、その知識を実行するということに優れているんでしょうね。