「艶歌(エンカ)ロイドの巻」(ジャンプ・コミックス190巻収録)

今回は、両さんの声を使ったボーカロイドがアジア圏で大々的にバズり、それにイッチョ噛みして大儲けをしようともくろむ両さんが奮闘するお話をお届けする。

本作で描かれている「エンカロイド」とは、PCやネットを一切介さない、熟年層を対象としたボカロ活動を指す。メディアはカセットテープ、ツールはラジカセ、通信手段は郵便だ。

この熟年層向けの画期的ビジネスを展開しているのは、ベンチャー系ビジネスの達人である両津勘兵衛。御年100歳越えの、両さんの祖父だ。彼は楽隠居の身だったが、1990年代は高齢者向け格闘ゲームを、そして2000年代には老人介護用の(無駄にエロい)ナースロボットを世に送り出している。

そんな勘兵衛の肝煎りの製品だけに、元気とお金と時間はありあまっているのにデジタルガジェットへの知識がない高齢者たちを夢中にさせていく。なにしろ、大原部長までが「P(プロデューサー)」として活動しているほどだ……。

エンカロイドが初登場する「ボカロP(ピー)の巻」(ジャンプ・コミックス186巻収録)も、興味があればぜひ読んでみてほしい。

本作では、勘兵衛の会社が両さんの姿や声を使った「りょーつっぽいど」で大儲けしていることを知った両さんが……!?

2013年に描かれた本作だが、そこで起こっている問題は、とても今日的だ。ヒップホップなどのジャンルで古くから用いられ、時に権利問題で訴訟が起こっていた手法「サンプリング」。

近年においては、技術の発展によって世界的なレベルで大きな問題・課題となっている。生成AIを使ってテキスト、音声、映像、画像……あらゆる他者のデータを素材として無許可で吸い上げまくり利用し、「自分のものとして」出力することで他者の権利を侵し、利益を得ている。

こういったことが大手を振って大企業によって行われるようになった現在、『こち亀』が現在も連載中だったら、両さんはどういった行動をとっただろうか。

それでは次のページから、両さんがモデルのバーチャル演歌歌手をめぐる大騒動をお楽しみください!!