音楽も料理も同じくらいクリエイティブ

――スヌープの作る料理は、すごくクリエイティブですよね。

私は、料理はアートだと思っているんです。アートだからこそ好みが分かれるかもしれないけど、人が作ったものに対しては、文化と同じように敬意を忘れちゃいけないと思います。だから、彼のアートそのものがこの本に詰まっていますね。彼から湧き出てくるものを形にした1冊です。

――日本のレシピ本と、アメリカのレシピ本はけっこう作りが違うそうですね。

日本のレシピ本は手順も含めて写真が丁寧に載っていますけど、アメリカのレシピ本は写真が載ってる方が少ないんですよ。完成写真すらほぼありません。でも、日本の料理本はわかりやすいですけど、写真のとおりに作らなきゃと思ってしまうから、アレンジがしにくい。もしくは、アレンジできないような気になってしまうこともあるかと思います。

アメリカの料理本は、想像しながら作る必要があるので、自分の想像を膨らませられる楽しみはありますね。日本とアメリカの料理本を足して2で割ったらちょうどいいかもしれないですね。この本は完成写真がある料理も多めなので、他の料理本よりは親切です(笑)。

ジャガイモの皮もむけなかったスヌープは“愛情”で料理に目覚めた――異色のレシピ本『スヌープ・ドッグのお料理教室』(後編)_b
「ビッグ・スヌープ流にさらにアレンジするとしたら、グリルした胸肉の代わりにチップ・プライド・チキンウィングスを使う。そう、チキンウィングのウメェ肉をぶっかけちまえ。それでカンペキ」<本文引用>

――日本の読者に、この本をどういうふうに楽しんでほしいと思いますか?

知らなかったものを知って、楽しんでもらうきっかけになったら嬉しいです。この本を読んで初めて料理にチャレンジして、YouTubeチャンネルで、スヌープのレシピを作るところを動画で公開している方もいるんです。そういうふうに、ヒップホップ好きでこの本を手に取った方が料理に興味を持ってくれたら嬉しいし、アメリカ料理を知りたいという理由で手にした方にも、この本でヒップホップの本当の文化を知ってもらいたいですね。

新しい発見にワクワクしたり、幸せを感じてもらうのが、この本の目的です。まだまだ制限が多い時代ですけど、夏にはこのレシピをバーベキューで作れるかなとか、そういう期待が気持ちを上げると思うので、この本でそういう気分になってもらえたら嬉しいですね。

前編(なぜスヌープ・ドッグの料理は胸を熱くするのか?)はこちらから

取材・文/川辺美希  ©スヌープドッグ・KANA/晶文社

ジャガイモの皮もむけなかったスヌープは“愛情”で料理に目覚めた――異色のレシピ本『スヌープ・ドッグのお料理教室』(後編)_c

『スヌープ・ドッグのお料理教室 ボス・ドッグのキッチンから60のプラチナ極上レシピ』
2022年3月1日
3410円(税込)
大型本 200ページ
ISBN:978-4794972903