「精神科病院が儲かる」システム
日本の精神科病院がきわめて多いのは、儲かるからである。
まず精神疾患の患者からは、確実に治療費が取れる。
生活保護受給者から治療費の取りっぱぐれがない、ということを前述したが、精神疾患患者にも同様のことが言えるのだ。
精神疾患の治療も社会保険が適用されるので、患者の自己負担は3割である。が、精神疾患の場合、自治体が患者の自己負担分を補助しているケースが多いので、患者の負担はゼロになっていることが多いのだ。
また精神疾患で入院するような患者の場合、精神障害者として認定されることも多く、障害年金を受け取ることもできる。すると、障害年金から治療費が支払われることになる。実際、障害年金の受給者の約6割は、精神障害・知的障害の患者なのである。
また精神医療というもの自体、儲けやすい仕組みになっている。
精神科の入院点数は、一般科の入院点数より少ない。だから、一人一人の入院患者から得る収入は、一般の病院よりも少ない。
しかし、精神科病院の入院患者は、あまり手がかからない。普通に生活できる人がほとんどなので、医師や看護士の数は少なくても大丈夫なのである。
ほかの病気のように、検査や治療のための設備もほとんど必要ない
しかも、ほかの病気のように、検査や治療のための設備もほとんど必要ない。
つまりストレートに言えば、「元手がかからない」のである。建物さえつくっておけば、後はお金が入ってくるだけである。
しかも、精神科病院は、さらに危ないビジネススキームを持っている。
「一人の患者を長く入院させることで治療費を稼ぐ」
という方法だ。
精神科の平均入院日数は275.1日である。
一般病床の平均入院日数が16.1日なので、その差は歴然である。日本の精神科治療が、明らかに「長期入院」を主軸にしていることがわかる。
精神科にはうつ病などでちょっと短期間入院するという人も多く、そういう人たちは1ヵ月程度で退院することになる。
なのに、なぜ精神科の平均入院日数が275.1日にも及んでいるのかというと、何年にもわたって精神科に長期隔離入院させられている患者が多いからである。先進国で、このような長期入院を主体とした治療を行っているところは他にない。日本は完全に世界から遅れているのである。
このようにして、精神科病院は儲かっているのだ。
が、われわれが見過ごしてはならないのは、精神科病院の儲けというのは、われわれの払った税金や社会保険料で賄われているということである。
国の歳出のうち最も大きいのが医療費であることは前述したが、その大きな部分を精神科病院が分捕っていると言っても過言ではないだろう。
日本に集中治療室が少ないのも、PCR検査体制が途上国よりも遅れていたのも、この精神科病院の巨大な利権が影響している―そう著者は考えている。
文/大村大次郎
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