経営陣はザッカーバーグのゴマスリ集団?
ホーゲンのFacebook批判は続く。
「Facebookは会社のシステムそのものがマーク・ザッカーバーグに幸せ感と満足感を与えるように作動しているんです。彼は周りを『マーク・ザッカーバーグは誤解されている天才だ』と持ち上げてくれる人で固めています。彼のやることをすばらしいと褒め、承認し、サポートし、これでいいんだと安心感を与える人間ばかりが側近なのです」
「彼らは何千万ドルという、考えられないような高額の報酬をもらっている人たちです。今の経営陣は外部の状況に何の反応もしません。おかしなことを言うようですが、ゴマスリ集団からマークを解放する“フリー・マーク運動”を起こしたいくらいです」
彼女はザッカーバーグを、「19歳(Facebookを創立した年齢)で成長が止まっている人」だと表現する。
「ずっと成功者としてもてはやされてきましたから、問題が起こったときには解決しなければならないこと、それがどんなに居心地の悪いことだとしても、やらなければならないということを学ばずに生きてきたんです。
成長するチャンスを与えられなかった人、という感じでしょうか。マークひとりがすべてをコントールしていることが、最大の盲点だと思います。状況をわかっていても、改善するための助言をしてくれる人がいないのは致命的です。
私が何年か働いていたGoogleも、共同創設者のラリー・ページとセルゲイ・ブリンのふたりが100%のコントロールを持っています。しかし、少なくとも彼らはふたりです。彼らの間で交渉し、話し合いを重ね、お互いの同意がなければ物事は進みません。彼らは切磋琢磨をしています」
ホーゲンは現在37歳。若々しく溌剌としていて、当然のことながら自分がしていることへの絶大な自信を持っている。しかし、世界一のメディア・プラットフォームを敵に回すことは、底の見えない谷に飛び込むようなものだったはずだ。
「Facebookという巨大企業に抹殺されてしまってもおかしくない状況に自ら飛び込んで行くのは、相当の覚悟がいりました。私は表に出ずアノニマス(無名)でいたかったんです。でも私をサポートしてくれている人たち、特に弁護士チームから、『あなたが表に出れば出るほど、Facebookは何もできなくなる。彼らにチャンスを与えるな』と言われました。そこから、表立ってインタビューを受けることにしました」
危険を感じたことは「今のところはない」と言う。彼女はカリフォルニア州のホイッスルブロアー(告発者)保護法令で守られている。
「私は今プエルトリコに住んでいます。彼らがわざわざここまで来るのには、時間がかかりますからね(笑)」
取材・文/中島由紀子