Facebookに最大の危機をもたらした告発
さらに新型コロナウイルスやワクチンに関するデマ、エチオピアやミャンマーの民族浄化、インドでの宗教間の紛争など、有害なコンテンツの拡散を助長していたことを指摘。インスタグラムが10代の若者に悪影響を与えることを認識していたにもかかわらず、対策を講じなかったことも問題視した。
そして違反コンテンツの審査をする際、政治家や著名人、インフルエンサーなどを優遇し、免除していたとされている。
Facebookが掲げる大義名分=「利用者は政治、文化、ジャーナリズムのエリートたちと対等に話すことができ、利用の制約はすべのユーザーに同じに適応される」とは程遠く、選ばれた人たちを優遇し、公共の安全よりも利益を優先しているとし、約2万ページにおよぶ内部文書を発表。
9月にはウォール・ストリート・ジャーナルがシリーズ記事を発表した。
2023年5月にホーゲンの著書『The Power of One:How I Found the Strength to Tell the Truth and Why I Blew the Whistle on Facebook』(ひとりの力:いかにして私が真実を告発する力をみつけたか Facebookの内部告発を決意した理由)が出版され、筆者はインタビューする機会を得た。
ホーゲンは言う。
「私がFacebookにリクルートされた2019年頃は、ケンブリッジ・アナリティカのスキャンダルにより、『えっ、Facebookに行くの? やめたほうがいい』と言われる時流の中にいました。しかし私は、Facebookとマーク・ザッカーバーグの可能性を信じていましたし、その将来に期待さえしていたんです。『Facebookのために何かできるのではないか』という気持ちもあって入社しました。
しかし入社して2〜3週間で、この会社が抱えている問題が“ただごと”ではないとわかりました。2年間仲間と問題を追求し、その解決法を提案し、なんとかするべきではないかと繰り返し指摘しました。ところが上からなんの反応もなく、問題をわかっていながら対処しない。意識的に無視する態度に困惑し、落胆しました」
ひとりでは何も変えられないと感じた彼女は、Facebookが利用者の安全より自分たちの利益を優先していることを世間の目に晒すことで、彼らを変えるしかないと内部告発を決意したという。