前代未聞! 無観客の中、行われたお笑いの賞レース
無観客のシチュエーションも多くのバラエティにとって向かい風であった。
スポーツや音楽ライブの無観客も厳しい条件だったが、バラエティにとっても無観客はなかなかきつい状況である。時に観客いじりも駆使する『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)などは、無観客期間中はセットも組まれずソファのみで、そこにマツコ・村上の二人がポツンと座り語る寂しい状況であった(それはそれで味があったが)。
そんな中、2020年の『R-1ぐらんぷり2020』(フジテレビ系)は無観客開催となった。
バラエティなら無観客の番組もあるが、客の反応も一つの要素になるお笑い賞レースで無観客は前代未聞。そもそも成立するのかすら心配されたが、渾身のスタッフ笑いもあり、無事に野田クリスタルの優勝で幕を閉じた。
コンビ芸に影響を与えたディスタンスの確保
また、ディスタンスの確保というのも一苦労であった。接触系の収録ができないため、多くの企画が不可能になった。
途中からお笑いのコンビは家族同様なので接触可という解釈にされたが、当初は漫才もディスタンスをとったりアクリル板を挟んだりという必要があった。
トム・ブラウンの定番ツッコミ「ダメー」も封じられてしまい、ディスタンスがとれるように長い手の形の棒で「ダメー」とやってみたり、手袋をみちおの頭にピシャッと投げて「ダメー」とやってみたりと苦労していたのを覚えている。
一例として出すのが適切かはわからないが『ゴッドタン』(テレビ東京系)の名物企画、男性芸人と女性芸能人(主にセクシーな女優さん)がイチャイチャしながら漫才をする「イチャまんグランプリ」もできなくなり、復活したのはほんのつい最近であった。
ディスタンス確保のため、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)のスタジオは7人がギュウギュウに座ってVTRを見ていたのが4人となり、『オールスター感謝祭』(TBS系)はスターの人数を大幅に減らさざるを得なくなった。