死因の究明なくして再発防止はできない!
失われた4500名もの命とCDRの重要性

慎之介くんの例だけではありません。2012年から2019年までの7年間で、不慮の事故で亡くなった0歳~19歳までのこどもの数は、

4506名。それらのほとんどが、責任の所在が不明のまま、まともに死因の究明も行われていないのが実態です。これでは再発防止ができるはずもありません。こどもの問題の責任を一手に引き受ける政府の責任部署がなくては、事態は解決されようがないのです。まさに、これが縦割り行政の弊害です。

同時に、国と都道府県、市区町村でこども支援、こども政策が分断してしまう「横割り問題」も大きく絡んできます。#1 でも言及した船戸結愛さんの事件は、まさに、転居を機に自治体の連携が取れず、必要な支援が途絶えてしまったことで、最悪の事態が招かれてしまった例です。

「川遊びしていた子供が溺れて死亡しました」毎年夏になると発生する不慮の水難事故死…再発防止に何が必要なのか?_3

このように、管轄部署の所在が明らかでなく、最終的な責任を誰も取らない――そんな国のあり方でこどもたちの命を守れるのでしょうか。

こどもの死について再発の防止のために原因の究明を行う、いわゆるCDR(チャイルド・デス・レビュー)が、欧米諸国などでは「予防できるこどもの死」を減らすために制度化され、具体的な対策によって成果を上げています。

日本でも当然、こどもの不慮の死について、原因の究明と再発の防止に努めることが必要であり、これこそ、政治の最大の責任のひとつであると私は考えています。

「川遊びしていた子供が溺れて死亡しました」毎年夏になると発生する不慮の水難事故死…再発防止に何が必要なのか?_4
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CDRとは、こどもが死亡した際、医療機関や警察など、複数の機関が情報を共有し、こどもの既往歴、家族背景、死に至った直接の経緯などの情報を調べ、再発予防の可能性を検証していくことです。これがないと、将来的にこどもの死亡率を減らしていくことはできません。

#1 政治のゆがみが招いた3つのこども虐待・いじめ事件…こどもの命が守られない日本で「こども庁」が必要な理由
#2 自慰行為強要、動画流出、自殺未遂…それでも教育委員会は「いじめ」と認定しなかった旭川女子中学生いじめ凍死事件は「こども庁」が必要だと考えた理由のひとつ

文/山田太郎

『こども庁ー「こども家庭庁創設」という波乱の舞台裏』(星海社)
山田太郎
「川遊びしていた子供が溺れて死亡しました」毎年夏になると発生する不慮の水難事故死…再発防止に何が必要なのか?_5
2023年8月23日
¥1,650
224ページ
ISBN:978-4-06-532899-6
自民党を「こどもを語れる場所」に変えた1年半の疾風怒濤伝!

2023年4月に発足した「こども家庭庁」。その創設の舞台裏には、自民党の常識にとらわれない新しい政治の「闘い方」があった! こどもの虐待や不登校、自殺者が多発する日本の厳しい現状を「こども緊急事態」として菅義偉内閣総理大臣に「こども庁」構想を直談判した2021年1月24日、闘いは始まった。「総裁選」や「党内や官僚からの抵抗」、「こども庁名称問題」、「メディアからの批判」幾多の危機にあって、命綱となったのは「ゲリラ的勉強会」、「デジタル民主主義」という驚きの政治戦略だった! 本書は、「こども庁」構想の発起人の一人である著者が、庁の発足までの舞台裏を書き下ろした疾風怒濤の政治ドキュメンタリーである。
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