北海道第二の都市で見た! 穴だらけの事件対応
なぜこんなことが立て続けに起きるのか。なぜ誰も止めることができないのか――私はこども庁創設が重要テーマとなっていた自民党総裁選の真っただ中の2021年9月、「こども政策公開討論会」が行われる前日に、1日だけ時間を捻出し、旭川市に飛びました。
旭川市教育委員会から直接話を伺うためです。廣瀬爽彩さんの命が奪われた事件について、いじめ「重大事態」としての第三者委員会の調査が一向に進んでいない原因や、今後の方針について教育長からとことん話を聞くつもりでした。
なぜ死に追い込まれる前に適切な支援ができなかったのか、爽彩さんの死を防ぐことができなかった原因は何か。ご遺体が見つかった場所で花をたむけ、手を合わせながら、どんなに苦しくつらかっただろうと思うと、怒りが込み上げてきました。
いじめ防止対策推進法は、議員立法で2013年6月に成立しています。しかし、せっかく制定された法律が全く機能していない状態だったわけです。この法律の所管は文部科学省でしたので、私は当時の文部科学大臣とも事前に連絡をとり、旭川市教育委員会等への指導や助言を徹底してほしいと要請しました。大臣からは、「文部科学省からは、すでに担当課長を旭川に派遣した」との返答でしたが、それでも事態は変わらず、何も解決されていなかったのです。
旭川市教育委員会からのヒアリングでは、次のような回答がありました。
「爽彩さんが川に飛び込んだ事件は把握しているが、関わった児童との関係や警察からの情報を総合的に判断し、いじめという認定はしなかった」
爽彩さんの事件では、警察が捜査を行う事態にまでなっており、2021年4月に、この事件は「重大事態」と認定されているのに、なぜ「いじめではない」ということになるのか。第三者委員会の公平性や中立性も疑われるものがありました。