#1
#2

子どもとの愛着関係は親しだい

どんな行動の個人差にも原則として遺伝の影響があるというのが行動遺伝学の第一原則ですが、例外があります。

それが乳幼児期の子どもと親との愛着のあり方で、これには珍しく遺伝要因がほとんどありません。愛着、つまり子どもが親や大人に対して示す安定した心理的な距離の取り方は親のかかわり方が非常にものをいうようです。

子どもは親から引き離されると強い不安を感じます。そこで親と再会するとき、多くの子どもは親と会えたことで安心感を得て、親に抱かれ落ち着きを取り戻します。

非行に走る子どもは遺伝のせいなのか、環境のせいなのか…15歳を境にくっきり分かれる「子どもが悪になる」要因_1
すべての画像を見る

しかし子どもによっては、親と再会しても親を拒絶しようとしたり、いつまでも機嫌が悪いままでいたりします。ここで子どもの見せる母親との安定した関係の取り方を一卵性と二卵性で比較すると、その類似性がほぼ同じで、共有環境が70%近くになります。

これはふだんの子どもとの関係で築かれた安心の基地としての親の接し方がどのようなものだったかがかかわっていると思われます。子どもにはもちろん遺伝的な気質として、先に述べたような遺伝的な差があり、場合によってはそれに引きずられて子育てのやりやすさも違ってきます。

しかし子どもの気質とは無関係に、そもそも親自身に子どもと安定した関係を築くことが上手な人と、不安定になりやすい人がいるものです。

その違いが子どもにとって、親を自分の居場所としてどれだけ安心感をもってかかわれるかどうかにかかわっているようです。

しつけの仕方に一定の方針をもって、ぶれずに子どもとかかわるとか、親自身が自分の生活ストレスをうまくコントロールするなどといった配慮が必要かもしれません。