宝くじの還元率の低さ
年末ジャンボ宝くじのシーズンになると、特定の売り場(東京の西銀座チャンスセンターなど)にできた大行列が、毎年のように報じられる。しかも、窓口の番号によって、行列の長さが大きく異なっていることが一目でわかる。確率論を考慮すればご苦労なことには違いないのだが、イベントとして楽しんでいるのだから、外野がどうこう言う話ではないし、むしろ、これこそが宝くじの楽しみ方と思わないでもない。
ちなみに、中央競馬(JRA)の場合、競馬法で還元率が決められており、原則では単勝・複勝が80%、枠連・馬連・ワイドが77・5%、3連複75%、3連単72・5%、WIN5は70%が当たり馬券の払い戻しに回される。つまり、「胴元」であるJRAの取り分は、20から30%だ。
パチンコ・パチスロは、法的にはギャンブルではなく、「遊戯」なので、法に基づいた還元率などはあるはずもなく、実際には店舗ごとのブラックボックスのなかだが、一般的には80%以上とされている。
一方、宝くじの場合、収益金の38・2%が、少子高齢化、防災、公園整備、教育、社会福祉施設の建設改修などの財源として利用される。国の事業としての意義は否定しないまでも、「胴元」である国が「ベット額」の半分以上を持っていくことを考えると、一般的なギャンブルとしては、まったく割に合わないことがはっきりしている。
*
司法書士として安藤さんは、ギャンブル由来の債務整理例で、勤務先を去らなければならなかった依頼者を何人も見てきた。
Bさんの場合、1度目の借金は退職金で返済し、2度目は法律の範囲で債務整理をした。決して褒められたことではないが、借金の取り立てから逃れるために、いきなり姿をくらませたり、犯罪に走ったりすることに比べれば、自分なりに「けじめをつけた」とも言えるかもしれない。
だが、会社の同僚同士の金の貸し借りトラブルや、親睦会の幹事がメンバーの積立金に手を付けてしまったことなども枚挙にいとまがない。
膨らんでいく借金の督促に耐え切れず、債権者から姿を消すために生活を投げ出し、手っ取り早くホームレスになってしまう人も少なくない。
#2 【ギャンブル依存大国】圧倒的世界最多の電子ギャンブル機数を持つ日本が江戸時代から続くホームレスとの関係
文/染谷一