ビートルズの酒池肉林、大狂乱ツアー

ミックほどではないにせよ、概してストーンズのメンバーにはワイルドなエピソードが多い。そうしたこともあって、昔からよく言われていたのは、ビートルズがどこか優等生な感じがするのに対してストーンズは不良っぽさが魅力だ、といった説である。

たしかに、ジョン・レノンもポール・マッカートニーも愛妻家のイメージが強い。愛と平和を訴えた曲もある。

しかし、当人たちの自伝や証言を読み返すと、そう単純な話でもないことはよくわかる。

”若気の至り“は十分にあったのだ。

ビートルズのツアーは若い女性たちが熱狂したことで知られる。そのツアー先ではどんなことが行われているのか──。

ジョンは著書『ビートルズ革命』(ジョン・レノン著/片岡義男訳/草思社刊)で次のように振り返っている。

「ビートルズの公演旅行は、フェデリコ・フェリーニの映画『サティリコン』みたいでした」

1969年に公開されたこの映画の舞台は西暦50~60年代、皇帝ネロ統治下のローマ。ネロは暴君で、酒池肉林、淫蕩の限りを尽くしたと伝えられている。

映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』に描かれているが、1962年にデビューしたビートルズがさかんにライヴを行っていた時期は世界のどこへ行ってもすさまじい人気で、大狂乱のツアーだった。

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オシッコの臭いが充満していたビートルズのライブ

ビートルズの初期にその前座を務めていたザ・フーのピート・タウンゼンドは、自伝の中で、ショウの後の会場には、尿の臭いが立ち込めていたと証言している。つまりビートルズの熱狂的なファンは若い女性が多く、彼女たちはビートルズを目の前にして興奮し、失禁していたということだ。

そんなファンがライヴ会場やホテルの外に溢れているので、バンドは屋外へ出られない。飲食はホテル内。観光などもってのほか。ずっとホテルにいると、自分たちがどこの街にいるかもわからない。アーティストたちには過度のストレスが生じる。その解消のためにスタッフが女性を集め、ジョンの言うような酒池肉林状態になったのだろう。