「第三の職種」IR、URAとは?
大学を取り巻く環境の変化に合わせ、職員の役割も変わりつつあります。既に一部の領域では、専門的な知識やスキルを持った職員が活躍を始めています。
教学IR(Institutional Research)という言葉があります。これは高校時の成績から入学後の学修状況、卒業後の状況まで多種多様な学生のデータを分析し、教育や学生支援に活用する取り組みのことを指します。
データを組織運営に活かすIRというアプローチはアメリカの大学で発展を遂げたもので、教学部門に限らず経営IR、研究IRといった取り組みが存在するのですが、中でも教学IRは、いち早く日本の大学に浸透し始めています。
我が国の教学IRは、教員と職員の間で発展してきた領域と言えます。統計やデータの扱いに長たけた教員が元々の専門性を見込まれて教学IRの業務にあたる例もありますし、教務部などで学生のデータを扱っていた職員が、中退予防などに取り組む過程でこの領域に足を踏み入れたという例もあります。
どちらのほうが良いということはありません。IRは組織的な取り組みであり、目的に合わせて仮説を立て、必要なデータを収集し、分析し、報告するといった複数の工程で構成されています。職務上、職員のほうが取り組みやすい工程もあれば、教員のほうが力を発揮しやすい工程もあるでしょう。
所属機関のIR専従担当者、あるいはその研究を行う専門家のことを「IRer」と表現するのですが、職員でもこのIRerを名乗る方は年々増えているように思います。大学や企業が企画運営するIRer養成講座などのプログラムもあります。職員のあり方に変化をもたらす動きです。