#1
#3

あまりにローカルな日本の大学

大学は国際交流の機会が多い場所でもあります。現在、多くの大学が留学生の受け入れや送り出しに注力しています。受け入れた留学生の支援に関わる仕事では、相応の語学力やサポート能力が求められます。

ここも職員が専門性を発揮しやすい領域の一つでしょう。英語はもちろんですが、中国や韓国から多くの留学生を受け入れる大学では、中国語や韓国語でコミュニケーションできる職員がいるケースもあります。留学先となる海外機関とのやり取りのほか、国内では地元の役所や入国管理局などと連携する場面も少なくありません。誰もがこなせる業務ではないですね。

学生の海外研修等に引率スタッフとして参加したり、海外からの問い合わせに対応したりと、語学堪能な職員の出番は少なくありません。留学生たちの悩みを理解し積極的にサポートできるという点も考えると、対応する職員自身が留学経験者であることが本来なら理想的なのでしょう。

日本の大学で”謎の学部学科”が乱立した理由…カタカナ語学部に「国際」「情報」「子ども」を学科名に多用。ツケを払わされる卒業生の末路_1
すべての画像を見る

学問領域によっても差はあるでしょうが、大規模校でなくても、あるいは国際交流の窓口でなくても英語力が必要になる場面はあります。私が教務部の職員として働いていた当時、海外企業へ就職するという卒業生から「卒業証明書や成績証明書を英語に翻訳して送ってほしい」という問い合わせを受けたことがあります。

翻訳作業自体を私がすることはありませんでしたが、何が書かれているのか教務の担当者が理解できないというわけにもいきません。アドミッションセンターや図書館が海外からの問い合わせに答えたり、海外から来たゲストに窓口で対応したりと、語学スキルはあって困りません。

大規模校などでは海外に事業拠点やサテライトキャンパス、研究施設、附属校などを持っているケースもあり、こうした部署も職員の異動先になり得ます。さすがに英語がまったく話せない人を海外拠点に赴任させるケースはないかもしれませんが、逆に英語が得意であるなら多様な経験ができるチャンスです。

キャンパス全体を国際化する大学は増えています。たとえば国際基督教大学(ICU)では伝統的に学内すべての掲示物が日本語・英語の二言語併記で、卒業生に送付される同窓会誌にまでこのルールが徹底されています。留学生を多く受け入れている大学では、このように学生とのコミュニケーションに英語が必要な例が多々あります。