競技用の漫才は別ものだと割り切ったほうがいい
——本多さんは、賞レースの審査員も務めていますが、漫才やコントに点数をつけて競技にすることについては、どう考えていますか?
そもそも劇場で披露される漫才は15分とか20分ですが、M-1は決勝で4分、予選に至っては2分です。だからそこはもう、競技用の漫才だと割り切って見るのが正しいと思います。
——漫才における「おもしろいネタ」と、競技用の漫才で「勝てるネタ」は、そのままイコールになるのでしょうか。
基本的にはイコールと考えていいと思いますよ。おもしろいネタが結果的に勝ちますから。30秒に1回ボケるよりも、10秒に1回ボケるほうがおもしろくなるのは、10分の漫才でも2分の漫才でも同じです。ただし、劇場でやる10分の漫才と同じように、起承転結の展開を見せるのは、競技漫才ではまず無理です。割り切って見るのが正しいというのはそういうことで、おもしろさというよりも、構成とか味わいの違いですね。
僕がオール阪神・巨人師匠の下で漫才の台本を書き始めた40年前から、5秒・10秒の間をどう詰めるか、という話は当たり前にしていました。島田紳助も、お客さんに伝えるためには言葉を1文字でも少なくすることが大事だってずっと言ってましたから。
——漫才において、関西弁のほうが有利に働くことはあると思いますか?
関西人の中にはそう思ってる人もいるでしょうけど、実際はそんな関係ないように思いますね。関西人は関西弁でしか育ってないですし、それは関東人だって九州人だって同じことなので、比較のしようがないですよね。僕は関西人ですけど、東京の漫才もずっと大好きでしたし。