運営者が目指すのは「性癖婚」

現在、数々の性癖マッチングサービスが各社より提供されているが、それらのほぼ全てがTwitterアカウントを経由してのマッチングに留まっており、実際にアプリ化しているものは皆無だ。そんな状況になっているのには、App StoreやGoogle Playでのアプリ申請が通過しないという実情がある。

「アプリのダウンロードサービスにはそもそもアダルトのカテゴリーがなく、またアダルトと認定されてしまうと登録できないため、私たちのサービス含め同業他社ではどこもアプリ化ができてないんですよ。今後、アダルト系のアプリが許容される可能性もなくはないので、その際はアプリ化も目指していきたいですね」

また、性癖でのマッチングを利用した「婚活サービス」も行いたいという。

2022年にAI性癖マッチングを通して結婚を果たしたカップルがいたそうで、この事例を参考にして性癖や性的嗜好、体の相性などが合えば、婚姻届の出し方や結婚式場の紹介など、次のステップのロードマップを提供できるようにしたいと大久保さんは話す。

大久保さんは「性癖の一致でQOLは向上する」と言う
大久保さんは「性癖の一致でQOLは向上する」と言う
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「例えば、『SMの相性が抜群だったので結婚しました』といったことを公に言えるような社会になれば面白いと思います。近年ではマッチングアプリでの結婚が一般的になってきましたし、今後は性癖の合うカップル同士の結婚が当たり前になってもいいのではと思います。いわば『性癖婚』ですね(笑)。
実際に、カラダの相性の不一致で離婚してしまう夫婦は多いので、性癖での結婚はある意味、理にかなっているのではないでしょうか」

「今後は性癖もパートナーを選ぶ判断基準のひとつになる」と予想している大久保さん。「性癖婚」の他にもHIVをはじめとした性病予防啓蒙を行い、安全・安心に性行為を楽しめる仕組みを整えていく予定だ。

少子高齢化や晩婚化が進むなか、性癖を主題にしたマッチングサービスは日本の抱える課題を解決する策のひとつになり得るだろうか。今後の性癖マッチングの市場に注目したい。

取材・文/越前与