フロアにはなぜか縄跳びするマッサージ嬢も
もともとニュー新橋ビルが立つエリアは昭和20年の東京大空襲で大半が焼失し、戦後はヤミ市が生まれた。その後、1961年に都市計画事業が決まり、ニュー新橋ビルは1971年に竣工。
2階フロアに中国系マッサージ店が続々と営業するようになったきっかけについては『新橋パラダイス 駅前名物ビル残日録』(村岡俊也著)に詳しく記されている。この本で取り上げられていた新橋の不動産仲介業者のコメントの一部を引用したい。
「二〇〇三年(平成十五年)くらいから、本格的にバーっと広がっていったんです。(略)今ではいくつか中国系マッサージ店のグループがあるから、できるだけ店同士で喧嘩しないように離れた場所を紹介するんですけど、仲介業者はうちだけじゃないから、空いている区画にどんどん入ってくるんです。ただ、区分所有の方々も再開発を見据えて、持っていた方がいいだろうという損得勘定が働いているから、相続の問題がない限りは売らないですね。だから現在のマッサージ店も、ほとんどが賃貸ですよ」
マッサージ店で働く中国人女性(23歳)にも話を聞いた。
「ここで働く中国人女性が特に増えたのはコロナ以降。
私もだけど、コロナで閉店した居酒屋から働き口を求めてこのビルにやってきた。
常連客が多いけど、エロいサービス目当ての男性も2~3割いて、たまに過激なサービスを求めてくる人もいるから困るね」
肝心のマッサージ技術はどうなのか。Googleのクチコミ評価を見るとどの店舗も4点以上と高得点ということで、無類のマッサージ好きである女性記者がその真偽を確かめに行くことに。
2階フロアには店先で麺をすすりながら談笑していたり、3歳くらいの子供を抱えていたり、なぜか縄跳びをしていたりと、思い思いの時間を過ごすマッサージ嬢の姿が目に入る。まるでアジアの裏通りを歩いてるような気分だ。
客引きたちは女性にも「おねえさーん、マッサージいかがですか」「うまいよ、信じて」と声をかけてくるので、立ち止まると「この店は●●さん(女性芸能人)も来た。満足して帰ったよ。信じてダイジョーブ!」と言う。
そこまで言うなら、とこの店で施術を受けることに決めた。