仕事も家庭も趣味のサークルも…人生さえも「経営」するもの

——ビジネスパーソンは今後どのような能力や価値観を身につけていけばよいのでしょうか。

「人優位」の時代に対応するために、まずは自分の市場価値を上げることが重要だと思います。どの会社にいたとしても「自分にしかできない仕事」を作ること。そうすれば、今後給与交渉や転職をするときに役立ちます。何かのスキルを身につけ、さらに経営的な発想を持てば、副業でビジネスもできるでしょう。

そして今後は「金もうけの経営」ではなく「人を大切にする経営」が一般的になると思います。その中では、投資や金融の技術よりも、人を惹きつける技術のほうが重要になるでしょう。その技術には経営やリーダーシップなどが含まれます。こうしたスキルを身につけた方がいいかもしれません。

——岩尾先生が2022年6月に出版した『13歳からの経営の教科書「ビジネス」と「生き抜く力」を学べる青春物語』は、中学生が経営に触れる内容となっています。経営目線を身につけるメリットについて教えていただけますか。

「経営は遠いもの」と感じる方もいらっしゃると思いますが、それは、日頃の業務のパフォーマンスと会社の業績につながりを感じられないからかもしれません。しかし従業員と会社はもちろんつながっていて、従業員がお客様を満足させないと、経営が悪化する可能性は高まります。そして会社が傾いたときに損をするのは従業員です。

なるべくロジカルに、自分と会社のパフォーマンスがつながっていることを理解できると、単なる「やらされ仕事」が「問題解決ゲーム」に変わって、楽しみが生まれると思います。そして仕事の成果にもよい影響があるでしょう。

また「経営」とは会社だけでなく、家庭や趣味のサークルなど、さまざまなチームを運営することでもあります。さらにいえば、一人ひとりが「自分株式会社」の社長ともいえます。経営について学んでおけば、家庭や自分の人生にトラブルが起きたときに、どう考えて行動すればよいのかがわかると思います。

知らないと大損!? 「お金優位」から「人優位」へ変革している日本経済。大重版『13歳からの経営の教科書』著者が教える、「所得は創造できる」時代に身につけたい経営マインド_2