ファミコン業界に進出

パソコンゲームを開発していた頃のスクウェアは、部分的にセルアニメ風のグラフィックを取り入れた『ウィル デス・トラップ2』、さらにセルアニメ風表現を発展させ、いのまたむつみさんのキャラクターデザインでも話題になった『アルファ』、ロボットアニメ風の設定とグラフィックが人気を博した『クルーズチェイサー ブラスティー』など、いずれも映像面の新規性を売りにしたタイトルで順調にヒットを出していきました(このようなグラフィックとキャラクターを売りにした作品づくりは、後のスクウェアの作風とも直結しています)。

そして1985年、初代『ドラクエ』発売と同年に、満を持してファミコン市場に進出することになります(翌1986年に親会社の電友社から独立し、株式会社スクウェア設立)。

しかし初期のファミコン用タイトル『テグザー』『キングスナイト』はパソコンで培ったグラフィック的な強みを発揮できなかったためか、望まれていたほどにはヒットせず、その後もファミコン・ディスクシステム用のオリジナルレーベル「ディスク・オリジナル・グループ」(DOG)の展開など意欲的な試みを続けますが、やはりヒットには至りませんでした。このままではファミコン市場からの撤退もありえる……そんな危機的状況のなか、初代『FF』が作られます。

自分たちが面白いと思うゲームを信じて突き進んだ若者たちの挑戦。危機的状況にあったスクウェアを救った初代『ファイナルファンタジー』誕生秘話_2