教員志望だった学生「学べば学ぶほど教員を目指さなくなった」
教員志望の学生が減っている理由として、複数回答で最も多かったのは、「長時間労働など過酷な労働環境」で94%だった。次に、「部活顧問など本業以外の業務が多い」が77%、「待遇(給料)が良くない」が67%と続いた。
さらに「現状の教員の労働環境についてどう思っていますか?(自由記述)」という質問では、ほとんどの回答者が記述し、問題意識の高さがうかがえた。その中でもよく指摘されたのが、「残業代が支払われない」「長時間労働が大変で、やりがい搾取になっている」「部活動の顧問が大変」な点である。いくつか回答をピックアップしよう。
「教員になりたいという気持ちはありましたが、あまりにも多すぎる業務、当たり前になっている残業。それに対する残業代は給特法により固定。働き方改革は果たして形ではなく本当に教員のために行われているのか。そんな事ばかり日々のニュースで見ます。大学でもたくさん学びました。入学時は教員を目指していた友人たちも、学べば学ぶほど教員を目指さなくなっていきました。今の労働環境では、正直やりがいだけではやっていける自信がありません。(大学生・3年)」
「両親が教師ですが、人生のほとんどの時間を仕事に充てていて、自分の家庭を大切にする余裕がないことが何より辛いと思います。何か家族イベントがあるごとに謝っていて、何のための人生かと思うことがよくあります。教師は、教師になった人の人生を踏みにじる仕事です。(大学生・2年)」
プライベートの犠牲の上に成り立っているが、そこに対価は発生していない
「ストレートで大学院に通いながら中学校非常勤も勤めている立場で回答する。教員がする仕事なのか、境界線があやふや。時に警察の真似事をして生徒指導を行っていることもあり、疑問に思う。部活動もさながら、生徒同士のトラブルの為に教員は定時以降残って対応することもあり、プライベートの犠牲の上に成り立っている指導である。
しかしそこに対価は発生していない。給特法の4%など今の教育現場には全く似合っていない。対価を与えず結果ばかりを求め、それも教員のプライベートの時間の犠牲のもと成り立つ教育は破綻しているとしか言えない。私は教育に強い憧れを持ち志願して院まで進学したし、教育学部及び研究科では満足のいく研究や経験を積むことができたが、教員になる気はない。(大学院生・2年)」
教員の残業代が出ない根拠になっているのが、給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)の存在である。
残業代を払わない代わりに基本給の4%を「教職調整額」として支給すると定めており、結果的に長時間労働に歯止めが利かず、教員の業務過多を生み出している。
現在、政府や自民党内ではこの給特法をどうするかの議論が行われており、自民党内の改善案では三つあると報じられている。