監督は“時を止める時計”が手に入ったらどうする?

そんな“時を止めた男”は、そもそもなぜ監督業を志したのか。

「通っていた京都の大学を無内定で卒業して、実家の近所で時代劇の撮影アシスタントのアルバイトをしていたんですけど、ある日、本屋に立ち寄ったらカンパニー松尾さんの『職業・AV監督』という漫画を見つけたんです。

カンパニー松尾さんは業界に“ハメ撮り”というジャンルを確立させた人で、その内容がすごく面白くて。それまでAVをそれほど見てきたわけではないけど、『なんだかアダルト業界って楽しそうだな』と思って雑誌の裏側に載っていた求人に履歴書を送ったら、奇跡的に採用されました」

そこから1年半のアシスタント期間を経て、AV監督としてデビュー。「時間よ止まれ!」シリーズを皮切りに、「僕は透明人間!」といった、個性的なシリーズ作品を次々とリリース。

「普段からほとんどアダルト作品を見ないし、興味があるわけでもない。この業界に入ったのも『なんとなく楽しそうだったから』。だからこそ逆に、型にとらわれない作品をつくれているのかなと思ってます」

アイディアの源泉をそう説明するささき氏に「時間よ止まれ!」シリーズの裏話を聞いてみた。

今後、どんな男の妄想を具現化してくれるのか
今後、どんな男の妄想を具現化してくれるのか

「そうですね……。オフィスやコンビニで時間を止めると、よく女性が一列に並ぶようにして静止してるじゃないですか。

あれはそうしたほうが見栄えがいいかなと思って僕が1作目からやり始めたんですけど、その女性たちにひとりずつ主人公が絡んでいくのがお決まりの流れ。

ただ女性によって胸を舐めたり、下半身をこすりつけたり、絡んだり……プレイ内容に差があるのをご存じですか?

あれはなぜかというと、女優さんってプレイ内容によってギャラが変わるんですが、制作には当然予算があって、全員とディープな絡みをすると予算をオーバーしてしまう。

『この子ともっとしっかり絡んでくれよ』と思われたとしても、ギャラが決まってるから無理なんです(苦笑)。そんな大人の事情のなかでの撮影なんで、なかなか大変ですよ」

ちなみに、もし本当に時間を止められる時計があったら、ささき氏もやっぱり……?

「僕は……どうだろう。こう見えても心配性なので、ビビッて使えないと思います。だって冷静に考えてみると、いつ女性が動きだすかわからないじゃないですか(笑)」

ささき氏に限らず、そう考えて時を止めるのを躊躇する男性は、現実では少なくないだろう。
一方で、作品に出てくる主人公は、タガが外れたように時を止めまくる。男性諸君はそこにロマンを感じるのかもしれない。


取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班