#2 「自分にとってのメインはAV女優」はこちらから

ふとしたドライブが小説のアイデアに

――『ごっこ』収録の3作品(表題作他2作品は『見知らぬ人』『はこのなか』)、それぞれの主人公と、作者ご自身のパーソナリティに重なる部分はありますか? 例えば表題作『ごっこ』の主人公ミツキの運転の仕方など。

ミツキの感情が爆発する部分や、車のスピードを出してしまう部分は、私自身思い当たることがありますね。といっても、ミツキほどスピードが出せるような車には乗っていなかったんですけど(笑)。

短気だったり、相手に対して意地悪な思いをすぐに抱いてしまう気質は少し似ています。特にミツキみたいに、(自分の感情を)言い出せないけど言い出したら止まらないところだったり、(パートナーから)都合のいいように丸め込まれて、最初は黙っているところだったり。

――運転シーンの描写から、ご自身もかなり運転がお好きなのかな、と感じたのですが。

車の中って密室空間で、自分の部屋みたいな感じがするんです。自分が住む部屋は動かないけど、車は「動く個室」みたいなもの。パーソナルスペースが守られていて、なおかつ景色も見られる。そういうところがすごく好きです。

自宅に一人でいるのに、「自分一人の時間が欲しい」と感じることがあるんです。でもよくよく考えたら「家にいるのに自分の時間が欲しいって、なに?」って自問しちゃって。だから車を運転して息抜きすることは多いですね。

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――特に目的地もなくドライブすることはありますか?

それもありますし、下調べして遠出して何かご飯を食べに行って、帰って来たりもします。あとは最近犬を飼い始めたので、ドッグランに連れて行くとか、そういうのでちょこちょこと理由を付けて、ドライブすることが多いですね。

――運転中に小説のインスピレーションが浮かんできたりしますか?

ふと浮かんできたりしますね。それこそ『ごっこ』も、東名高速の「70代を高齢者と呼ばない大和市」とか、連続して続く街のPRを兼ねた横断幕を見たときに、「一人で見る分には何とも思わないけど、渋滞に巻き込まれてケンカしているカップルが見たら、イライラする標語なのかもな」とか思ったり(笑)。

そういう風にアイデアを膨らませて、何か書いてみたいな、と感じることがあります。