大量の情報や人々の情報への依存が、無数の分断や対立を生む
おびただしい量の情報があふれたこの社会には、人の数だけ真実があるといっても過言ではありません。
そして、多くの人は自分が信じたもの、真実だと思ったものを「正」もしくは「善」、それ以外のものを「誤」「悪」ととらえ、自分が真実だと思ったものが正しいと確信させてくれそうな、そして意見の違う人間をやりこめられそうな情報を獣のように追い求めるようになります(「確証バイアス 」と呼ばれる心理学的傾向です)。
情報の本来の役割は、人々に真実を伝え、正しい判断を下すための材料を与えることにあります。
ところが、現代社会においては、誰が何の目的で流したのかも、真偽すらも定かでない大量の情報や人々の情報への依存が、無数の分断や対立を生んでいます。
その結果、私たちは、24時間、目の前のことに集中することを妨げられ、人生を充実させるために自分の時間を使うことを妨げられ、ただただ情報に縛られ、執着し、振り回されてしまうのです。
記憶に新しいところでは、アメリカ大統領選挙や新型コロナウイルス、ウクライナ紛争などでもさまざまな情報が飛び交い、世界中の人々の間に分断と対立を生み、人々の時間を奪っていました。
現在、あらゆる人や機関が、メディアやネットなどによって情報を流すことで、人々に時間を浪費させ、自分たちが望む方向へ誘導することに注力しています。
国や政党などが政治的な意図を持って行っている場合もあれば、ビュー数を増やして利益を上げたいだけの企業、注目を集めたいだけの人、自分の思想や価値観への賛同者を集めたいだけの人もいるでしょう。
刺激的なことや、ちょっとした嘘をつくことで、人間関係でラクをしようとしたり、自分を有利な状況に持っていこうとしたりする。
今や、それを世界中の人がネットなどを使って行っている状況であり、そのような時代に、目の前のことに集中するのは限りなく難しいといえるでしょう。












