スマホやSNSは、酒やたばこ、薬物などに匹敵する「依存物質」…あなたの脳を蝕むドーパミン依存とは
原稿を書こうと席に座ったのに、なんとなくネットニュースを見始めて、予定より遅れて始めるということは記者だけでなく、誰にでも経験があるだろう。なぜ人は集中できないのか、明治大学法学部教授、法と言語科学研究所代表の堀田秀吾氏の『24TWENTY FOUR 今日1日に集中する力』(アスコム)より一部抜粋・再構成してお届けする。
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今日1日に集中する力#1
大量の情報や人々の情報への依存が、無数の分断や対立を生む
おびただしい量の情報があふれたこの社会には、人の数だけ真実があるといっても過言ではありません。 そして、多くの人は自分が信じたもの、真実だと思ったものを「正」もしくは「善」、それ以外のものを「誤」「悪」ととらえ、自分が真実だと思ったものが正しいと確信させてくれそうな、そして意見の違う人間をやりこめられそうな情報を獣のように追い求めるようになります(「確証バイアス 」と呼ばれる心理学的傾向です)。 情報の本来の役割は、人々に真実を伝え、正しい判断を下すための材料を与えることにあります。 ところが、現代社会においては、誰が何の目的で流したのかも、真偽すらも定かでない大量の情報や人々の情報への依存が、無数の分断や対立を生んでいます。 その結果、私たちは、24時間、目の前のことに集中することを妨げられ、人生を充実させるために自分の時間を使うことを妨げられ、ただただ情報に縛られ、執着し、振り回されてしまうのです。 記憶に新しいところでは、アメリカ大統領選挙や新型コロナウイルス、ウクライナ紛争などでもさまざまな情報が飛び交い、世界中の人々の間に分断と対立を生み、人々の時間を奪っていました。 現在、あらゆる人や機関が、メディアやネットなどによって情報を流すことで、人々に時間を浪費させ、自分たちが望む方向へ誘導することに注力しています。 国や政党などが政治的な意図を持って行っている場合もあれば、ビュー数を増やして利益を上げたいだけの企業、注目を集めたいだけの人、自分の思想や価値観への賛同者を集めたいだけの人もいるでしょう。 刺激的なことや、ちょっとした嘘をつくことで、人間関係でラクをしようとしたり、自分を有利な状況に持っていこうとしたりする。 今や、それを世界中の人がネットなどを使って行っている状況であり、そのような時代に、目の前のことに集中するのは限りなく難しいといえるでしょう。
今日1日に集中する力#2
『24TWENTY FOUR 今日1日に集中する力』(アスコム)
堀田 秀吾
発売日:2022年12月16日
価格:1650円(税込)
288ページ
ISBN:978-4-7762-1243-0
私たちに必要なのはタイムマネジメントでも、効率化でもない。 世界中の叡智が明らかにした「最高の24時間」を過ごす方法をあなたに。 ――最高の人生は、今日この瞬間の先にある― 24時間をもっとも有効に使う方法は世界中の叡智により、すでに明らかになっています。 答えは、「今、目の前のことにただ集中すること」。 これこそがもっとも充実した24時間を送る方法であり、私たち人類が、幸福に生きる方法でもあります。 ですが、残酷にも私たち現代人は、「目の前のことに集中する」ことがなかなかできません。 人生を安全に、効率よく進めたいという思うほど情報を求め、SNSやニュースに没頭します。 そしてやるべきことに集中できなくなります。また、人は不安を感じるとやるべきことに手がつかなくなります。SNSだけでなく、「気が散る」誘惑は、数限りなく存在します。人間関係で起きた問題やストレスもあなたから集中力を奪います。 多すぎるタスクも問題です。 マルチタスクは、生産性が40%低下し仕事を終えるまでの時間を50%増やします。 ネガティブなニュースは、あなたから正常な判断を奪い、85%の人が簡単にフェイクニュースにだまされるという研究結果もあります。 今の世界は、どうあがいても自分の24時間に集中するのが難しいのです。 「世界の叡智が示す『最高の24時間』とは本書は、世界中の一流研究機関の研究者たちによって行われてきた実験、研究を紹介しながら「今日1日に集中するにはどうすればいいか」を一緒に探っていくことを目的にしています。