未来の不安を予想しても「95%」は当たらない
人間にとって、不安こそが生き抜くための武器だった
人生は選択の連続です。
私たちは日々、「朝、何時に起きるか」といったことから「どの案件を優先させるか」「ビジネスを成功させるために、どのような戦略を立てるか」といったことまで、1日あたり数千回にも及ぶさまざまな選択を繰り返しています。
では、人は選択をするとき、一体、何を基準にしているのでしょうか。
おそらく、多くの人は「より良い未来を手に入れるにはどうしたらいいかを考え、選択をしている」と思っているかもしれませんが、多くの選択は、実は不安という感情に基づいて行われています。
「多少の困難があっても成功したい」「充実した人生を歩みたい」といった積極的で前向きな考えではなく、「失敗したくない」「苦労したくない」「キャリアに傷をつけたくない」など、将来起こるかもしれないリスクを避けようとする消極的な考えが、選択を左右しているわけです。
ちなみに、人間が不安を抱くのは、太古の昔、不安こそが生き抜くための武器だったからです。
石器時代の人間は、常に命の危険にさらされていました。
いつ動物に襲われるか、いつ気候が急変するかわからず、現代からすれば何でもないけがや病気で命を落とすこともありました。
自分の身を守り、生き抜くためには、自分自身や周囲の環境を常に観察し、ささいな変化、違和感に気づき、それが危険かどうかを見極める必要があったのです。
そこで役に立ったのが、不安という感情です。
不安を感じることで、起こりうる危険に対し警戒したり慎重になったり、備えたりすることができるようになるからです。
つまり、石器時代の人々にとっては、ちょっとしたことでも不安になるくらいのほうが、生存競争において有利だったのです。
また、不安があったからこそ、人々は不安の種を取り除くために連帯し協力し合い、懸命に働き、さまざまなものを発明してきました。